仮想化導入ガイドPart5 物理環境から仮想環境への移行Step by Step

物理マシンから仮想マシンへの移行は、ただのファイルのコピーとはわけが違う。たとえ価格が高くても、P2V移行ツールを使えばさまざまな問題を解決できる。

2006年12月07日 07時00分 公開
[Alessandro Perilli,TechTarget]

 物理マシンの内容を仮想マシンに移行するのは、ある場所から別の場所にファイルをコピーするのとはわけが違う。実のところ、これは時間もコストも掛かる複雑で技術的な作業だ。

 この連載の前回は仮想化担当者に必要な技量について説明し、Part3では、ROIの計算のポイントを紹介した。その前のPart1Part2では、仮想化の対象候補の特定方法とキャパシティープランニングについて説明した。今回は、いよいよ最初の作業フェーズに入る。適切な仮想化対象候補として特定した物理マシンから仮想マシンに移行するP2V(Physical to Virtual)移行のフェーズだ。

P2V移行

 移行先となる仮想マシンのハードウェアは、移行元サーバの物理ハードウェアとは異なるのが常だ。P2V移行ツールを使用することは、こうした移行に伴うさまざまな問題を解決する1つの簡単な方法だ。仮想化業界の中でP2V移行ツールの市場リーダーはプレートスピンヴイエムウェアだが、レオストリームヘルパーアップスなど、ほかにも注目すべき競合ベンダーがある。

 移行に伴う問題の1つはドライバの認識だ。どのサーバでも、移行直後の最初の起動時にOSカーネルは新しいデバイスを認識し、それらを扱うためのドライバを探す。カーネルが適切なドライバを見つけられないと、デバイスは機能しない。

 OSによっては、こうしたドライバの調整は複雑になる。実際、Microsoft Windowsの場合、恐ろしい「死のブルースクリーン」が表示されることなく正常に起動するように、必要なドライバを適切なタイミングと順序でカーネルに渡して初期化するには、P2V移行ツールが必須だ。

 Linuxの場合、専門家なら商用ツールを使わずにドライバの調整を行えるだろうが、その作業は面倒で時間がかかる。しかも、そうした手作業を行うと、移行のターゲットとなる仮想プラットフォームとのやりとりを伴う、移行プロセスのほかの部分を自動化できなくなる。

 P2V移行ツールは、ターゲット仮想マシンへのデータの移行(と移行のための調整)を行うだけでなく、適切なハードウェアで新しい仮想マシンを作成し、その電源を投入し、ベンダー製の必要なパフォーマンス向上ツールをインストールする作業も担う。

 仮想化に初めて取り組む担当者は、価格の高さから、P2V移行ツールを使うことを敬遠する場合が多い。しかし、それは、物理サーバを仮想マシンでゼロから再構築する場合に起こりがちな、予想外のエラーのコストを考えないということだ。

 何人かの仮想化の専門家や推進者が配布している無料のP2V移行ツールもある。だが、それらは数台のサーバを移行するのには役立つものの、今のところ、大規模な移行プロジェクトで有効に利用できるように拡張することはできない。こうしたツールのユーザーは、技術的な問題が発生した場合にツールを修正するのにかかる時間の方が、移行プロジェクト当たりで見た商用ソリューションのコストよりもはるかに高くつくことを、すぐに思い知らされることになる。

 また、P2V移行ツールには付加機能として、仮想化の対象候補を特定する製品や、キャパシティープランニングを支援する製品との連携機能も必要とされる。P2V移行ツールがこれらの製品と統合されていれば、仮想環境への移行をスピードアップできる。移行によって新しく作成される各仮想マシンを、最もリソースに余裕のあるホストサーバに瞬時に移動できるからだ。

 本稿執筆時点では、そうしたサービスを実現しているベンダーはプレートスピンしかない。プレートスピンのP2VソリューションであるPowerConvertは、仮想化の対象候補を特定する同社のPowerReconツールと統合できるようになっている。

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