オラクルが同社初のハードウェア製品として、ストレージ製品ファミリー「Oracle Exadata」をリリース。大規模データウェアハウスなどでの大量データ処理の性能を劇的に向上させるという。
日本オラクルは1月20日、同社初のハードウェア製品となるストレージ製品ファミリー「Oracle Exadata」を同日より日本国内で販売開始すると発表した。
Oracle Exadataは、ストレージサーバ「HP Oracle Exadata Storage Server」と、同製品を14台組み合わせて大規模データウェアハウス用に最適化したデータベースシステム「HP Oracle Database Machine」の2製品で構成される。ヒューレット・パッカードが提供するサーバ/ストレージのハードウェア上にオラクルのソフトウェアを搭載する。米国では既に2008年10月にリリースされており、現在400社以上の企業が試験導入を開始しているという。
HP Oracle Exadata Storage Serverは最大で12TバイトのHDDストレージを搭載し、2基のIntelクアッドコアCPU上で「Oracle Enterprise Linux」「Oracle Parallel Query Database Software」などのソフトウェアが稼働する。さらに、大量データ処理性能を向上させるために幾つかの独自機能を搭載する。
その1つが「Smart Scan」と呼ばれる、全件検索処理を高速化する機能。通常のデータベース製品の全件検索処理は、全件データをいったんストレージサーバからデータベースサーバにネットワーク経由で転送し、データベースサーバ上で検索処理を行う。一方Smart Scanでは、ストレージサーバ側で全件検索処理を行い、その結果セットだけをデータベースサーバに返す。これによりネットワーク上の転送データ量を大幅に削減し、大量データの全件検索処理を多用するデータベースアプリケーションの高速化を実現する。また、データベースサーバとの接続部分に2基のInfiniBand(サーバ/ストレージ間高速通信規格)インタフェースを搭載し、ネットワークボトルネックのさらなる解消を図っている。
HP Oracle Database Machineは、14台のHP Oracle Exadata Storage Serverと、「Oracle Database 11g」が稼働する8台のデータベースサーバ、4台のInfiniBandスイッチを1ラックに収めたもの。処理の高速化だけでなく、コンポーネントの冗長化による高い耐障害性を備えるという。
同製品は、大量データの検索処理が必要な大規模データウェアハウスを運用する企業を主なターゲットとする。米オラクル サーバテクノロジー プロダクトマネジメント バイスプレジデント マーク・タウンゼント氏によると、「既に米国での導入先では、大量データ処理のパフォーマンスが10倍から72倍まで向上した実績がある」という。また、大量バッチ処理の性能に問題を抱える企業にとっても、同製品の導入が有効だとしている。
さらに同社では、データウェアハウス専用アプライアンス製品からOracle Exadataへのリプレース需要も視野に入れる。日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏は「専用アプライアンスはソフトウェアとハードウェアが一体になっているため、システム更新時に両方を再購入する必要がある。その点Oracle Exadataは、ハードウェア部分だけの購入が可能で、ハードウェアの高性能化・低価格化の恩恵をユーザーが直接受けることができる」とコスト面でのメリットを強調する。さらに、同製品のソフトウェアはデータウェアハウス専用のものではなくOracle Database 11gであるため、既存のデータベースアプリケーションを修正する必要はなく、他システムとの連携も専用アプライアンスに比べ容易だという。
HP Oracle Database Machineの価格は7065万2200円(税別)。同製品に含まれるHP Oracle Exadata Storage Server単体を既存のOracle Databaseシステムに導入したい場合は、1台当たり260万8700円(税別)で購入できる。
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