プライベートクラウドと仮想サーバファームの違いや、アプリケーションアウェアネスとデータセンターOSの概念について、仮想化とクラウドコンピューティングの専門家が解説する。
プライベートクラウド構築計画は、企業にとってどの程度現実的なのか。TechTargetは、仮想化とクラウドコンピューティングを専門とする米Enterprise Strategy Groupのアナリスト、マーク・バウカー氏に話を聞いた。プライベートクラウド、つまり社内クラウドは、データセンターリソースを集中化し、業務需要の変化に応じてオンザフライで配信する手段であり、ITは会社に対するサービス提供部門としての役割を果たす。
クラウド技術はサーバ仮想化がベースとなっており、まだまだこれからだ。しかし、CIOたちはこの技術を有力視している。2回シリーズの1回目となる今回のインタビューでは、バウカー氏にプライベートクラウドと仮想サーバファームの違いを説明してもらい、アプリケーションアウェアネスとデータセンターOSの概念について解説してもらった。第2回では、アプリケーションのオーナーをクラウド戦略に巻き込んで成功に導くことなど、CIOにとっての具体的な課題について取り上げる。
―― 社内クラウド、あるいはプライベートクラウドとは何か、はっきりした概念はあるのでしょうか。
バウカー クラウドの定義は全体として、控えめに言ってもいまだに極めてあいまいです。Cisco Systems、VMware、Microsoft、Citrix、EMCといった各社はいずれもクラウド構想を描いており、それぞれ少しずつ違いはありますが、すべて根本は同じです。(こうしたベンダーの戦略は)クラウドの現実性を高めるための仮想化に一極集中しています。従って、例えばアプリケーションなどをいったん仮想化すると、その仮想化されたインフラにポリシーやSLA(サービス品質保証契約)を直接適用でき、インフラが反応するという感覚がつかめるでしょう。
―― 社内クラウドを作ることは、仮想サーバファームを持つこととどう違うのですか。
バウカー 違いは、社内クラウドでは構築するインフラが実際に反応できるという点です。ストレージとネットワークのインフラは、より高いレベルにあるマネジメント技術との間でインテリジェンスとナレッジを共有します。具体例を挙げると、ネットワークとストレージのインテリジェンスをVMwareのVMware vCenterと共有できれば、それによってVMware vCenterがすべてを見通して、ポリシーを特定のワークロードや仮想マシン、あるいはインフラ全体に適用できるようになります。
こうしたことは(仮想サーバファームにおいては)まだ現実になっていません。仮想マシンを物理サーバの間で動かすことはできても、ストレージは動くでしょうか? セキュリティポリシーは? ネットワークは反応するでしょうか? 帯域幅は? これらがすべて仮想マシンとともに動くかといえば、答えはノーです。
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