SNSやTwitterの導入は、潜在的な顧客や間接的な関係者とのつながりを強化するのに有効な手段だ。
数カ月前、中堅鉄鋼メーカーのCIOと、Web 2.0技術の導入について話をした。このCIOは、従業員がそのようなものを使うことに会社として手を貸すわけにはいかず、そのつもりもないと言って譲らなかった。Web 2.0を導入しない理由を重ねて尋ねると、はっきりした理由が2つあるという。
第一に、Web 2.0技術を導入すれば、従業員が意図的に、またはうっかりと会社の企業秘密を漏らしてしまうかもしれない。
第二に、もしWeb 2.0技術を許せば、多くの従業員がFacebookのページ更新やプロファイル更新に時間を費やし、仕事をしなくなる。
わたしの会社では、こうした要因はWeb 2.0技術の導入を思いとどまる理由にはなっていない。従業員が会社の知的財産を共有してしまう問題がもしあるとすれば、それはWeb 2.0技術を導入してもしなくても起こり得るとわたしは思う。従業員がFacebookばかりやっていて仕事が終わらないのなら、Web 2.0の問題ではなく管理の問題だ。わたしに言わせれば、Web 2.0のメリットはそのリスクをはるかに上回る。
わが社のWeb 2.0技術導入は、「インキュベーション」のアプローチを取っている。社内用と社外用の両方にWeb 2.0を利用する試験プロジェクトを幾つか実施中だ。試験プロジェクト開始のための決定モデルは、アンドリュー・マカフィの著書『Enterprise 2.0』(Harvard Business School Press刊)に紹介されている次のようなモデルだ。
一般的に、われわれは少数の同僚、顧客、サプライヤー、パートナーなどとの間で強い関係を築いている。われわれのモデルでは、これは「Strong Ties」(強力な関係)に該当する。Web 2.0技術は、このグループ内で導入してもあまり意味はないだろう。既に互いの間で強力な関係ができているからだ。しかし、関係が「Weak」(弱い)グループでは、人間関係と協力関係強化のために貴重な役割を果たす可能性がある。そしてWeb 2.0ツールは、この関係の「弱い」グループにベストプラクティスやアイデアを共有してもらう上で、最もコスト効率の高い方法といえるかもしれない。関係が「Potential」(潜在)または「None」(皆無)のグループでは、FacebookやLinkedInなどのWeb 2.0ツールのみが関係を確立する唯一の方法かもしれず、ここから「弱い」関係、そして「強力」な関係へと発展させることもできる。
例えば、わが社の製品を販売している業者との間には強固な関係があるかもしれない。しかし、その販売業者からわが社の製品を買っているユーザーのことを考えた場合、その関係は弱いものになる。わが社の営業担当者は販売業者とやりとりをしているのであって、最終顧客とのやりとりはない。従って、最終顧客とのつながりができれば、わが社が市場シェアを伸ばす役に立つかもしれない。恐らくわが社の製品を実際に使ってくれている人たちは、製品について素晴らしいアイデアを持っていたり、わが社の製品の独創的な使い方を見いだしているかもしれない。では、われわれがこうしたユーザーと関係を築き、協力してもらうことは可能だろうか。Web 2.0技術は、コラボレーションのための最も効率的な手段かもしれないのだ。
われわれはWeb 2.0技術の試行を検討する際に、このモデルを使っている。インキュベーションプロジェクトでは、関係が「弱い」「潜在」「皆無」に属するグループを見極め、Web 2.0を使ってその相手にリーチする。関係が向上しているとの確証が得られなければ、次の試験プロジェクトに切り替える。これまでのところは利点ばかりだ。会社から企業秘密が流出したこともなければ、従業員の生産性の高さも変わらず、そして実際に、社内外でこれまでは有意義な形で出会えなかった相手に出会うことができている。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略プランニング担当副社長。
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