2010年05月26日 08時00分 UPDATE
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EDIは流通業全体のインフラを目指せ【第3回】流通BMSが進展した後のSCM理想像とメーカー・卸・小売の役割

小売・卸間の標準EDIの早期実現に向け、これまでさまざま述べてきた。本稿では標準化されたEDIのメリットを説明するとともに、流通BMSが進展した後のメーカー、卸、小売の役割の変化について述べたい。

[玉生弘昌,プラネット]

EDIを業界インフラとして活用──流通BMS進展後の理想

 EDI(Electronic Data Interchange)が標準化されることで各企業が得られる1次メリットは、受発注業務の「省力化」「迅速化」「伝票レス化」「ミス防止」を実現できることである。2次メリットとしては、取引している企業同士が話し合い、EDIを前提としたECR(Efficient Consumer Response:効率的な消費者対応)などの戦略的連携へと進展できることが挙げられる。具体的には、販売実績に基づいて必要在庫数量を算出し、自動的に補充するCRP(Continuous Replenishment Program:連続補充方式)や、小売業と取引先が協力して販売計画を立案・予測し、それに基づいて商品の補充を行うCPFR(Collaborative Planning, Forecasting and Replenishment:製販協働計画予測補充)が可能になるということである。これらにより、商品の補充計画がより正確になり、工場も安定稼働するなど、川上から川下に至るサプライチェーンの効率化が期待できる。

 3次メリットは、自社内に蓄積されたデータを分析することで、マーケティングやマーチャンダイジング、カテゴリーマネジメントなど、さまざまな分野の問題解決や創造的プランニングへ応用できることだ。要は、受発注や伝票処理、請求回収などの定型業務はコンピュータに任せ、人間はもっと創造的な仕事に力を注ぐべきということで、これこそがIT本来の活用術だと考える。

 以上が個々の企業が享受できるメリットだが、EDIによってn対nのネットワークができれば、業界インフラとしてサプライチェーン全体の機能アップにつながっていく。まさに流通業が目指すべきSCM(Supply Chain Management)の理想像といえるだろう。

データベースの整備・活用も重要

 EDI標準化を考えるときに無視できないのが、データベースの整備である。業務系システムで使うデータには、トランザクションデータとマスターデータの2つがある。トランザクションデータとは、発注データや仕入れデータなど、日々発生する取引のデータ(非公開データ)を指す。EDIでやりとりされるのはこのデータで、当該企業以外には秘匿されるべきデータである。

 一方、マスターデータは、商品マスターや取引先マスターなど、固定情報が中心のデータをいう。こちらはそれぞれ公開されたデータなので、それらを集積しデータベースとして共有化することができる。商品コードや商品名、サイズ、重量など、各商品の商品情報を一元管理する商品データベースは、EDIをはじめ、物流、マーケティングなど業界共通の財産として幅広く利用できる。流通業界では早くからここに着目し、商品マスターデータの整備を進めてきた。

 棚割りシステムが広く使われるようになってきた昨今では、とりわけ商品画像の活用が進んでいる。新商品の発売に先立って、新商品を陳列棚のどこに置くか、そのためにどの商品を棚から外すかをシミュレーションする際に、商品画像は不可欠だからだ。このほか、新製品カタログやチラシ、企画書にも利用できるなど、商品画像の活用範囲はどんどん広がっている。近年、小売業の新たな流通チャンネルとして浸透しつつあるネットスーパーやドロップシッピングでも、画像付きの商品データベースは活用できる。

 ちなみに、ネットスーパーとは、“店舗にある商品”をWebサイトで受注し、消費者の自宅に宅配するサービスである。ドロップシッピングとは、“店舗では扱っていない商品”を消費者がWebサイトで注文すると、メーカーや卸から直接発送される宅配サービスのことである。ネットスーパーに関しては、既に大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアが参入するなど、高齢化社会への対応を含めて今後の広がりが期待されるビジネス形態となっている。

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