NGNサービスの効果を最も体感しやすいアプリケーションの1つに、ビデオ会議がある。NECは、帯域保証や回線コストで優位性のあるNGNをビデオ会議と組み合わせることで差別化を図る戦略を取った。
これまでビデオ会議製品紹介記事で取り上げてきたベンダーは、海外勢が多かった。しかし、国内ユーザーがビデオ会議システムを導入する際には、かゆい所に手が届く国内ベンダーの方が都合が良い場合もある。ここでは、後発ながら国内の先進的なネットワークを活用した新提案で注目を集めるNEC(日本電気)の製品について紹介する。
NECは、高精細のHD画質で利用できる多目的ビデオステーション「NC1000-MV」を発売している。本製品のハイライトは、初めて「NGN(次世代ネットワーク)対応」をうたったHDビデオ会議システムであるという点だ。同社 第二企業ネットワークソリューション事業部 UCシステム部マネージャーの和田祥光氏は、「最近、リアルで臨場感あふれるコミュニケーションを行うために、ビデオ会議の需要はHD品質にシフトしつつある。しかし、帯域を消費するHDビデオ会議を社内イントラで構築すると、現状の業務に大きな影響が出てくることもあり、(VPNサービスなど)ネットワーク全体の設計の見直しから始める必要がある。そこでNGNを利用することで、あらかじめ必要な帯域を確保しながら、高精細の映像でコミュニケーションが可能なシステムを提供できると考えた」と、NGN対応のポイントについて説明する。
つまり同社は、HDビデオ会議システムを製品単体として売り出すのではなく、帯域確保型ネットワークであるNGNと連携させる戦略を取ることにより、他社との差別化を図ろうというのだ。実際に連携する商用ネットワークサービスは、NTT東日本およびNTT西日本が提供するNGN「フレッツ 光ネクスト」の「ひかり電話」。ニーズに応じてMCU(Multipoint Control Unit:多地点接続装置)を導入することで、外部ネットワークも含めて小規模から大規模までHDビデオ会議システムの構築が容易になる。
このようにNGNをインフラに採用する結果、必要な帯域を柔軟な構成で確保するだけでなく、コスト面でもひかり電話の安価な料金体系を享受できるようになる。一般的なVPNサービスと比べて固定費が安く、通信料金も3分間15.75円(最大利用帯域2.6Mbpsの場合)で済む。
具体的に、通常利用される帯域保証型VPNサービスと、フレッツ 光ネクスト/ひかり電話によってビデオ会議システムを構築した場合の運用コストを比較してみよう(表)。フレッツ 光ネクストとひかり電話を50時間分利用したとすれば、月額固定費と従量料金を合わせても1カ月当たり25万円ほど。比較条件によるが、これは従来の帯域保証型VPNサービスの約4分の1に当たる。NGNを利用することで、中堅企業にとってもビデオ会議システムの導入・運用のハードルが下がるわけだ。
NC1000-MV+フレッツ 光ネクスト&ひかり電話 | 一般的な帯域確保型VPNサービス | |
---|---|---|
月額固定料金 | 9万825円(税込み) フレッツ 光ネクストファミリータイプ×15、ひかり電話基本プラン×15、ひかり電話複数チャンネル×5料金を含む |
100万円 1拠点当たりのVPN回線月額利用料を10万円とした場合 |
従量料金(50時間) | 15万7500円(税込み) | - |
月額料金合計 | 約25万円 | 100万円 |
比較条件は、10拠点相互接続、使用帯域2Mbps、50時間利用をベースにしている |
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