2013年01月08日 08時00分 UPDATE
特集/連載

オープンクラウドの潮流【第2回】【技術動向】主要PaaSの動きが一気に分かる、林 雅之のOpen PaaSリポート

IaaSのコモディティー化が進み、PaaS市場が活況を帯び始めている。今後、Windows Azureに代表される「Proprietary PaaS」に加え、「Open PaaS」の流れが進むだろう。

[林 雅之,国際大学GLOCOM客員研究員]

※ 本連載は、『オープンクラウド入門 CloudStack、OpenStack、OpenFlow、激化するクラウドの覇権争い』のダイジェスト版として、2回にわたってオープンクラウドの技術動向をお伝えします。

成長するPaaS市場

 各事業者からIaaSレイヤーのパブリッククラウドサービスが提供され、価格競争による低価格化とコモディティー化が急速に進んでいる。IaaSレイヤーにおいては、Amazon Web Services(AWS)や、第1回「【技術動向】中立性を保つOpenStackと商用実績のCloudStack」で紹介したOpenStackやCloudSackといったオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを採用するサービス事業者が増加傾向にあり、IaaSレイヤーは汎用的なITインフラとなりつつある。そのため、サービスの差別化が困難な状況になりつつあり、今後のクラウドサービスの主戦場はPaaSレイヤーに次第にシフトしていくことが予想される。

 調査会社の米Gartnerが2012年11月19日に公表したリポートでは、PaaSへの支出は2013年に15億ドル、2016年までには29億ドルに達すると予測している(関連記事:【市場動向】2012年はPaaS元年にならず、市場拡大は2014年以降か?)。現状のPaaSでは、各社がMFT(Managed File Transfer)、DBMS、メッセージング、アプリケーションサーバ、データ統合、B2B統合、BPM(Business Process Management)技術といった個々の機能を提供している。そのため、ユーザーとサービス提供事業者が複数の機能を連携させていく必要があり、PaaSコンポーネントはスイート製品へと「急速に集約」されるという。

Proprietary PaaSとOpen PaaS

 代表的なPaaSは、米Salesforce.comが提供する「Force.com」や米Googleの「Google App Engine」、米Microsoftの「Windows Azure」などがあり、ユーザーの採用実績も多く、PaaS市場のシェア上位を占めている。これらの共通点は、最初からPaaS特化型のサービスとして提供し、導入実績も豊富な点である。また、開発言語や開発フレームワークは独自性が高いため、IaaSレイヤーを公開せずにPaaSレイヤーと一体で提供しているケースが多い点も特徴だ。データベースとミドルウェアをセットで提供している例もあるなど、これらのサービスは完成度の高い垂直統合型モデルとなっている。

 IaaSレイヤーを公開しないProprietary PaaSに対して、バックエンドでAWSなどのIaaSを利用し、自社独自のPaaSとして提供する事業者も多い。AWSは、Amazon EC2上のみで動作するPaaS「Amazon Elastic Beanstalk」をβ版として無償で提供している。AWSは2012年5月9日、それまでOSはLinux、開発言語はJavaとPHPのみの対応だったが、OSはMicrosoftのWindows Server、開発言語は.NET Frameworkにも対応した。さらに2012年8月にはPython、2012年11月にはRubyにも対応するなど、競合他社のOSや複数の言語を取り込み、PaaSレイヤーにおいてもサービスの拡充を図っている。

 Salesforce.comの「Heroku」は、RubyによるWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」を使ったPaaSで、買収当時はRuby専用のPaaSだったが、Javaなど多言語への対応を進めている。バックエンドのIaaSにはAmazon EC2を利用している。

 その他にも、2011年6月に正式サービスを開始し複数のプログラミング言語やデータベースをサポートする「DotCloud」、2012年3月に日本法人を設立し2012年9月から日本でのサービス提供を本格化している、Ruby、PHP、Node.jsに対応した「Engine Yard」などがある。Oracleは2012年11月に、Engine Yardに戦略的出資をすることを発表。Oracle CloudではPaaSとしてJava/Java EEの言語に対応していることから、Oracle CloudとEngine YardのPaaSをどう融合させていくかに注目が集まっている。

 なお、Amazon Elastic Beanstalk、Heroku、Engine Yard、国内事業者ではTISの「eXcale」(β版)が、いずれもバックエンドでAmazon EC2を採用している。

クラウドのオープン化を後押しするOpen PaaS

 一方、2011年に入ってから、米VMwareが提供する「Cloud Foundry」や米Red Hatが提供する「OpenShift」など、IaaS上に構築されるインストーラブルなオープンソースのPaaS基盤ソフトウェアが台頭しており、Windows Azureなど垂直統合型のProprietary PaaSに対して「Open PaaS」と呼ばれている(関連記事:オープンソースのPaaSはなぜ注目されるのか 〜Open PaaSの魅力と課題)。

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