Oracle Linuxの最新版「Oracle Linux 5.9」にオープンソースコミュニティーから批判の声が上がっている。だが根本的な不満は、Sun買収時にも問題になったオープンソースに対するOracleの姿勢にあるようだ。
「Oracle Linux」の最新アップデート版である「Oracle Linux 5.9」に、オープンソースコミュニティーから否定的な声が上がっている。定評のある「Red Hat Enterprise Linux」(以下、RHEL)をベースにしたディストリビューションというより、「単なる後追いリリースに過ぎない」というのだ。自称“Linuxニンジャ”のジョーダン・ベッドウェル氏は「Oracleはとてもオープンとはいえない」と話す。同氏は「彼らが作るものは、いつも秘密のベールをまとっている。それこそが顧客やユーザーにとって最大の不利益だ」とTwitterでもつぶやいた。
Web開発者のフレッド氏(匿名)も、Linux専門のフォーラム「Phoronix.com」の掲示板に「Oracle LinuxはRHELにマイナーなフィックスを施したスピンオフに過ぎない。われわれはRHELを選ぶべきだ。Red HatはOracleよりもずっとLinux文化に貢献している」と書き込んだ。同氏は電子メールによるインタビューに応じ、「根本的な不満は、Oracleが2010年にSun Microsystemsを買収した際、優れたオープンソース製品の提供を約束したことにある。Sunは世界で最もクールでまじめな技術系企業だった。Googleよりもクールだった。だが、Oracleが買収して全てを台無しにしてしまった」と回答した。
フレッドがそう指摘するのは、例えば2010年8月、Oracleの意向によってOpenSolarisコミュニティーの活動が事実上停止に追い込まれたことや、Oracle側の管理事情によって、自由な開発が前提だったOpenOffice.orgの開発がブラックボックス化されたことなどを指している。OpenSolaris、OpenOffice.org、UltraSPARC、Java、MySQLなどは全てOracleが買収したオープンソース製品だが、フレッド氏は「Oracleが開発を引き継いで全て駄目にしてしまった」と切り捨てる。実際、オープンソース製品の中には、illumosやLibreOffice、Apache OpenOffice、MariaDBなど、Oracleの干渉を回避するために開発者コミュニティーが派生製品を開発したケースもある。
Linux開発に対する批判もOracleにとって今に始まったものではない。そもそもOracleが2006年、Linuxのサービスサポート分野に参入し、Red Hatディストリビューション向けのサポートサービスを提供すると発表した当時からOracleに対する批判の声は上がっていた。オープンソースコミュニティーの発展に寄与してきたRed Hatの市場を、Oracleがいたずらに侵食することになるのでは、といった懸念からだ。
OracleのLinuxおよび仮想化エンジニアリング担当上級副社長ウィム・コーケーツ氏は、2012年10月のOracle OpenWorldのプレゼンテーションで、Linux開発に向けられた批判に対して多くの時間を割いた。
同氏は「Red Hatディストリビューションに乗る戦略は技術的ニーズからではない。純粋に、よりリーズナブルなサービス提供を求める顧客のために考えたビジネス上の判断からだ」と説明。また、Red Hatディストリビューションを用いることで、「RHELを利用してきた顧客は、システムをOracle Linuxにスムーズに移行できる。実際、顧客企業もそのような動きに乗り出している」と主張した。
Oracle Linux 5.9のリリースノートでは、同社がRed Hat Enterprise Linux 5.9から変更および削除したRPM(Red Hat Package Manager)と、独自に追加したパッケージ群を強調している。それによると、およそ120のパッケージが変更され、30以上がOracleによって追加されている。削除されたパッケージも20以上あるが、そのほとんどはRed Hatのロゴとサブスクリプション管理を必要とするものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
全国2万以上の保育/教育施設で職員の業務を支援するためのクラウドサービスを運営しているコドモン。ユーザー数の増加に伴いシステムの安定運用が課題になっていたという同社は、どのように監視体制の強化を進めたのだろうか。
AIプラットフォーマーとしてさまざまなサービスを展開しているAI inside。同社は、サービスの安定運用を実現するために監視体制の強化に着手する。同社がどのようなツールを導入して取り組みを進めたのか、本資料で解説する。
「Windows 11」は従来の「Windows」と比較して、システム要件が厳しいとの声がある。具体的には何が違うのか。そもそもWindows 11への移行に意味はあるのか。
「Windows 10」のサポート終了が迫る中、移行に関する幾つかのハードルや誤解からまだ「Windows 11」に移行できていない組織がある。移行を円滑に進めるために押さえておくべき点とは。
マルチテナント型SaaSの開発・運用に当たっては、ID・アカウント管理を適切に設計・実装していくことが不可欠だ。その理由を確認しながら、ID・アカウント管理で求められる要件や構築のポイントを解説する。
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...