Oracleの愛が感じられない――Solaris x86ユーザーが嘆く理由コモディティx86サーバ市場への消極的な姿勢

x86 Sunユーザー、特にSolarisを利用するユーザーは「Oracleからあまりサポートを受けていない」と疎外感を抱いているようだ。

2013年03月06日 08時00分 公開
[Mark Fontecchio,TechTarget]

 米Oracleの上層部たちは、1Uや2Uラックサーバが中心となる「コモディティx86サーバ」の市場など気に掛けていない、と明言している。利益率の低さがその理由だ。

 「コモディティのx86のビジネスがゼロになっても、私は気にしない」と、Oracleのラリー・エリソンCEOは、2013年の決算発表で言い放った。「それらを売っても利益がほとんど出ない」

 それに代えて、2010年にSun Microsystemsを買収したOracleは、ExadataやExalogic、Exalyticsなどいわゆる「エンジニアド・システム」に力を入れている。これらの製品は、x86サーバ技術を組み込んでいるが、数千ドルや数万ドルの金額ではなく、数百万ドルから数千万ドルの高価格帯で販売されている。

 とはいえ、Oracleはx86技術の開発をやめるつもりはないようだ。大規模で高価なエンジニアド・システムは、x86技術の上に構築されているからである。しかし開発自体は、旧来のSun信奉者たちを満足させるものではない。彼らは、Oracleが自分たちから遠ざかろうとしていると感じているのだ。

 元Sunの顧客、ビル・ブラッドフォード氏は、自分たちが干されているように思えると話す。ブラッドフォード氏は米エネルギー会社の上級システム管理者だ。そこでx86技術を利用しているが、もっと重要なことは、同氏がSunシステム管理者のための支援サイトである「sunhelp.org」の創設者であり、現在も同サイトを運営していることだ。

 「われわれは今もSunのx86マシンを数台利用している。だが、過去2、3年以内に購入したものは1台もない。現在稼働するマシンは、いずれもRed Hat Enterprise Linuxを実行している」と同氏は説明する。「Solaris on x86は、われわれのターゲットプラットフォームではなかったので、OracleがSunを買収した後、われわれはSolarisとSPARCからの移行を加速させた」

 ブラッドフォード氏はさらに、Sun買収前後のOracleの態度について、愛好家や開発者、システム管理者、SOHOのコミュニティーがSunに寄せていた「信用を裏切り、敵意を抱かせた」と振り返る。

 SunのSOHOコミュニティーでは、安価なx86コモディティサーバに対するOracleの消極的な姿勢を見て、新しい顧客がOracleハードウェアへ向かう道を閉ざすとの疑問の声が上がっているという。

 「Oracleの戦略は、われわれがSolaris x86を合法的に利用したり、パッチを適用したりできないようした」と同氏。「OSの熱狂的なサポーターたちが、それを利用できないというのは、何かおかしい」

 専門職・企業向けにデジタル署名を発行するカナダの非営利団体、Notariusのシステム管理者だったデビッド・ロビラード氏も同じように語る。同氏のチームは、さまざまなUNIXおよびLinuxマシンを稼働させていたが、そのうちの200台はx86でFreeBSD、Red Hat、CentOS、Ubuntu、AIX、そしてSolarisを実行していた。もし可能であれば、これらを単一のプラットフォームに統一したかった。

 ロビラード氏は1998年からSunのコミュニティーに関わっていたので、Sun x86を提案した。その理由として、自己修復機能、Solaris ZFS、そしてネットワーキング機能を挙げたが、ちょっとした障害が待ち受けていた。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。