CitrixとVMwareを比較、デスクトップ仮想化はモバイルデバイスを含む一元管理が鍵にVMware CTOが語る

CitrixとVMwareの競争関係が、データ分析にも広がっている。VMwareのEUC部門最高技術責任者(CTO)は、アプリケーションやデータのセキュリティ強化に分析が役立つと語る。

2017年08月08日 05時00分 公開
[Eddie LockhartTechTarget]
画像 “いつでも、どこでも、デバイス1つで仕事ができる”将来は近い。

 データ分析は、CitrixとVMwareが次に競争を繰り広げる新たな分野になりつつある。

 企業のIT部門は、ユーザーの行動やデバイスのパフォーマンスなどの豊富な情報を駆使し、重大な障害につながる前に問題を特定し、解決しなければならない。2017年5月下旬、Citrixは、「Citrix Analytics Service」をリリースした。同製品は、人工知能(AI)と機械学習を組み合わせ、企業に新たな知見を提供する。VMwareは、モバイルアプリ分析ベンダーApteligentを、2017年5月中旬に買収した。同社エンドユーザーコンピューティング(EUC)(注1)部門でCTOを務めるショーン・バス氏は、VMwareがデータ分析をさまざまな形で強化していると話す。

※注:企業の従業員や部門(エンドユーザー)が、業務に使うシステムやソフトウェアの開発、構築や運用管理に自主的に携わること。

 「どのようなユーザーがいて、何にアクセスし、どのようなデバイスやネットワークを利用しているかについて膨大な量のデータが飛び交っている」と、バス氏は語る。「企業データやアプリケーションをうまく保護しつつ、こうした情報を抜き出すことは可能だ」(バス氏)

 バス氏は、ボストンで開かれたイベント「Boston VMware User Group UserCon」に参加し、CitrixとVMwareとの競争関係や、クラウドへの移行について語った。

VMwareは、どのようにCitrix製品に対抗しているのですか。 

ショーン・バス氏(以下、バス氏) :2016年、Citrixにはあり、VMwareにはなかった機能が少数だがあった。中でも重要だったのが、Microsoftの「Skype for Business」と連動する機能だ。VMwareでも、今月からSkype for Businessを広く利用できるようにしている。そのため、ユニファイドコミュニケーションについては、両社は同等の立場にあるだろう。

 VMwareは、低速回線にも対応する画面転送プロトコル「Blast Extreme Adaptive Transport(BEAT)」に長い間取り組んでいる。Citrixのイノベーションに対抗し、同社にはない新たなサービスを加えている。例えば、インスタントクローン(注2)やAPP Volumes(注3)などだ。

※注2:仮想デスクトップのコピー(クローン)を必要に応じて高速で生成する機能

※注3:アプリケーションデータやユーザーの個別環境を、OSと切り離すことで、ストレージ容量やコストをかけずに仮想マシンに配布する機能

――仮想化デスクトップ製品「Horizonシリーズ」について、今後の計画を教えてください。

バス氏 製品の1つである「VMware Horizon Cloud」を、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」向けに提供し始めた。現在、「VMware vSphere Fundamentals」からHorizonを切り離してサードパーティークラウドで提供している。VMwareにとって初めての取り組みだが、Azureの利用に関心のあるVMwareの顧客向けに行っている。VMwareは、顧客がVMwareのソフトウェアをどこで使おうと、受け入れたいと考えている。

――企業のクラウド移行を支援するため、具体的に何をしているのですか。

バス氏 例えば、デスクトップやモバイル、ID管理などのVMwareテクノロジーを結集し、オンプレミスでもクラウドでも使えるエンタープライズモビリティ管理(EMM)製品「Workspace One」は、クラウド移行向け技術の躍進ともいえる。

 VMwareからユーザーへの働きかけという点では、実際には何もする必要はない。ユーザーが自身で行っているためだ。VMwareは、オンプレミスとクラウドのインフラを結び付け、ユーザーがあらゆるデバイスで使えるようにしている。VMwareは、あらゆるユーザーの利便性を高めるため、同製品のツールをさらに提供する。

――EUCを利用する企業にとって、現在最も重要な課題は何ですか。

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