デジタルワークスペース製品を利用すると、会社のITリソースへのアクセスや管理が一元化され、IT部門もユーザーも仕事がしやすくなる。現状、この市場でしのぎを削っているのはVMwareとCitrix Systemsだ。
IT部門による仮想デスクトップとアプリケーション、データ、デバイスの管理やサポートを支援するため、エンドユーザーコンピューティングに新たな選択肢が浮上した。それがデジタルワークスペースだ。
デジタルワークスペース(仮想ワークスペースと呼ばれることもある)は、全ての組織に適しているわけではない。だが従業員がユーザーごとの特定リソースに社外からアクセスできるようにしたいと考える多くの企業では、ワークスペースによってIT管理を合理化できるだろう。ただしエンドユーザーコンピューティング(EUC)が革新と進化を続ける分野であることを忘れてはいけない。そうしたデジタルワークスペースがたとえ有望に見えていても、ベンダーはすぐに、ユーザーとITのために一層の合理化が図れる製品を開発するかもしれない。
従業員ワークスペースの境界を定義しようとする人と開発者、ツール、プラットフォームのエコシステムは以前から存在していた。その目的は、ユーザーをもっと効率の高い――少なくとも理論的には――ワークフローへと誘導することにあった。ここ数年は、仮想ワークスペースツール、あるいはデジタルワークスペースツールと位置付けている製品が多く登場している。問題は、そうしたデジタルワークスペース製品が真の答えなのか、それともIT部門がより良い働き方を模索し続ける必要があるのかどうかだ。
主なデジタルワークスペース製品にはVMwareの「VMware Workspace One」と、Citrix Systemsの「Citrix Cloud」がある。こうした製品では完全なデスクトップの提供、シームレスな抽象化されたアプリケーション、サードパーティークラウドの統合をうたっている。そうした製品の基本的な理念は、ユーザーとIT管理者が全てのリソースにアクセスできる単一のフレームワークを創出することにある。これによって管理は一元化され、ユーザーは仕事がしやすくなる。さらに、ワークスペース環境を通じてリソースを配信すれば、エンドポイントユーザーがリソースへのアクセスに使う手段はあまり問題にならなくなり、ユーザーエクスペリエンスの一貫性が高まる。
管理者の観点からは、このコンセプトは魅力的だ。例えば管理者はsalesforce.comやSAPのクラウドアプリを単一のエージェント経由で配信でき、ユーザーに仮想デスクトップやアプリを利用してもらうこともできる。場合によっては、同じツールを通してIT部門が電話リソースをユーザーに提供できることもある。ではこのようなワークスペース製品が、なぜもっと普及しないのだろうか。
デジタルワークスペースの潜在的可能性が最も大きいのは中堅・中小企業(SMB)だ。大組織ほど規模の制約を受けないSMBにとって、仮想化は問題外というわけではない。SMBは小規模で動きが速く、戦略的構想に沿ってユーザーに提供するリソースに順応しやすい。
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