Column
ITマネジャーが意識すべき予算編成健全化への5つのポイント
予算編成のプロセスは、IT幹部にとって時に大きなストレスになる。常に経費でプレッシャーをかけられ、ITに投資する事業上のメリットを示す必要に迫られる中ではなおさらだ。ここでは、健全で生産的な予算編成のためのノウハウをお届けする。
ITマネジャーのほとんどは、予算編成が体にいい作業だとはまず思っていない。苦痛で時間ばかり取られ、会社の業務実態と離れて一人歩きしてしまうこともある。しかしこのプロセスをもっと生産的なものにして、経営陣に真の選択肢を与え、ITが事業にもたらす価値に脚光を当てられるとしたらどうだろう。
2007年が近づく中、予算編成健全化のためのアドバイスを幾つかご紹介しよう。もっとも、この作業が必ずしも楽しいものになるとはお約束できないが。
削ることで成果を高める
2006年のIT予算は2005年に比べて平均約4%増えたと聞けば、ITマネジャーは元気が出るかもしれない。だがこれにつられて上昇傾向が今後も続くと思ってはいけない。私が見たところ、インフラ(ハードウェア)とアプリケーションの両方でITのアップグレードと投資を行っている企業は多い。古くなったERPシステムでは成果は出せず、報告義務を満たすためにはもっと堅牢なシステムが要る。つまり簡単に言うと、企業の競争力維持とコンプライアンス規制遵守のためにはITへの出費を増やす必要があるのだ。
しかしほとんどの企業では、業績好調なところでさえ、経費に極度のプレッシャーがかかっている。グローバルな競争と生産性の劇的な向上により、企業には新しいレベルの効率性強化が求められ、これが経費削減に転嫁されるのが常だ。
従って予算編成着手に当たり、2007年は「削ることでいかに成果を高めるか」を念頭に取り組もう。たとえ獲得できる予算が増えたとしてもだ。ITマネジャーはコストプレッシャーと、支出に見合う事業上のメリットを示す必要性を実感するだろう。
日常経費と新たな投資
予算編成の際は、日常業務としてのIT運営経費と、新しいアプリケーション/インフラアップグレードのための予算案とを切り離し、それぞれに占める金額の割合を示すこと。私が目にするIT予算のほとんどは、日常的な運営経費の比重が相当大きく、80~90%を占めることもある。新しい投資やプロジェクトのための予算は比較的少ない。しかし企業には業績を向上させてくれるITへの投資が必要だ。例えばサプライチェーンの激的な改善や、顧客体験を変えるためのシステムがそれに当たる。
年次ベースでは、支出の構成比率を変えて日常業務への支出を(効率性向上によって)減らし、未来を築くための予算を増やすことを目標とすべきだ。この割合と、年ごとの傾向を示せば、新プロジェクトに予算が必要なことを証明する一助となるかもしれない。
経費だけでなくメリットを示す
会社のCEOやCFOは支出の見返りに何が得られるかを知りたがっている。そこで次は、予算のあらゆる分野で達成できる事業上のメリットを努めて描き出すことだ。例えばインフラ運営経費では、会社の業務効率がどれだけ上がるか、顧客対応がどれだけ迅速化されるか、営業経費がどれほど削減できるかを示す。新システムへの投資では、事業上のメリットを明示する。
経費がかさむ原因を把握する
IT予算はビジネスニーズに伴い経費増大を招く傾向が強まっている。事業のために必要なITリソースは増える一方だ。特にストレージの分野でこれが言える。一般社員の目にはストレージリソースは無料と映るため、大規模なデータベースを作り(そして使わないことも多い)、大量の電子メールや電子ファイルを保存している。
企業はどこでIT利用の経費がかさむかを把握し、過剰分は削減する必要があるかもしれない。
急進主義者になれるか
経費とメリットに目を向けた場合、時に不評を招く2つのアイデアが、検討課題として存在する。アウトソーシング/オフショアリングと標準化だ。ビジネスパートナーは中堅企業であってもこうした可能性に目を向けており、ITマネジャーとしてのあなたにも同じことを求めてくるだろう。
業務を社内であれ社外であれ、今よりも低いコストでできる場所に移すことは、「フラット化する世界」の自然な成り行きだ。こうした選択肢を検討するだけでも、自らの経費削減や、削ることで成果を高める方法探しの一助となるだろう。これに目を向けることで、経費水準について考えることもできる。ビジネスパートナーは、あなた自身の会社のコストで競争ができているかどうかを知りたがっている。
標準化はもう1つの効率化の道だ。余分なシステム、そして余分なビジネスプロセスも取り除くことができるだろうか。電子メールシステムが幾つあるのか、標準のデスクトップ設定があるのか、会社の各拠点ごとに別々の人事システムがあったりしないだろうか。標準化は必ずしも歓迎されない。社員はテクノロジーを使って自分がやりたいことを自由にやりたがるものだ。しかし標準化で経費を削減でき、ITと会社を運営しやすくすることが可能だ。こうした行動によって、予算作成はもっと体にいい作業になり、ただの数字の羅列以上のものになる。
筆者のジェームズ・チャンピー氏は、情報技術サービス大手、米ペロー・システムズのコンサルティング業務担当会長兼戦略責任者。著書にベストセラーとなった「Reengineering the Corporation」(邦題:リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新/日本経済新聞社)、「Reengineering Management」(邦題:限界なき企業革新―経営リエンジニアリングの衝撃/ダイヤモンド社)、「The Arc of Ambition」、「X-Engineering the Corporation」などがある。
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