吸排気の方向が冷却の鍵を握る
データセンターの過熱問題――ネットワークスイッチに要注意
サーバは前面から空気を吸い込んで背面から排気するが、スイッチ製品はポート密度を優先するため、側面から吸気して反対側の側面から排気するものが多い。このことが、スイッチの過熱の原因になる場合がある。
データセンター内でホットアイルとコールドアイルを設けるレイアウト方式は、サーバにうってつけだ。サーバは前面から空気を吸い込み、背面から排気するからだ。しかし、データセンターコロケーションサービスの提供会社Lifeline Data Centersの共同オーナー、アレックス・キャロル氏は、ネットワークスイッチを並べて配置すると、異常な過熱が発生する場合があることを思い知らされた。
キャロル氏によると、同社の大口顧客の一部は半ダース以上のCisco Systems製ネットワークスイッチを並べて設置していた。これらのスイッチは一方の側面から吸気して反対側から排気するため、問題が生じてしまった。
「彼らはスイッチを開放型ラックに設置していたが、スイッチが横に並んでいたため、どのスイッチも排気が隣のスイッチの吸気口に吹き込んでいた」と同氏。「このように排気と吸気が繰り返されていき、3、4台目以降のスイッチは非常に高温になっていた」
このように吸排気の方向がサーバと異なるIT機器をどう扱うかは、データセンターでよくある課題だ。米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)のような団体は、ホットアイルとコールドアイルを分離する設計を採用し、ラック列間の通路を挟んでサーバの前面同士、背面同士が向き合うようにラックを配置することを勧めている。しかし、こうした配置をネットワークスイッチに適用すると、トラブルが発生する恐れがあるわけだ。
側面吸気/側面排気方式が使われる理由
従来のネットワークスイッチのラックユニットで側面吸気/側面排気方式が使われているのは、多くのラインカードを詰め込み、多くのポートを利用できるようにすることが主な目的だ。Cisco Systemsのデータセンターソリューション担当シニアディレクター、ダグ・グーレイ氏が言うように、側面吸気/側面排気のスイッチでは、多数のラインカードを装着してシャーシの側面全体を吸排気に使える。これに対し、前面吸気/背面排気の場合は、シャーシスペースのうち最大で半分の高さ分が吸排気に使われ、装着できるラインカードがその分少なくなる。
「前面吸気/背面排気のスイッチでは、吸排気のために一定の高さのスペースを取られ、ポート密度が低くなる」と、データセンター向けケーブル製品を提供するPanduitの製品設計エンジニア、ジム・フレミング氏は語った。「シャーシの幅は決まっているので、利用できるスペースの高さが低ければ、組み込めるラインカードの数も限られてしまうわけだ」
最も人気の高いネットワークスイッチの1つである「Cisco Catalyst 6500」を例に取ろう。このスイッチは、側面吸気/側面排気のシャーシモデルと、前面吸気/背面排気のシャーシモデルが用意されている。2008年時点でこのスイッチの販売台数のうち、前面吸気/背面排気モデルの割合は10%にすぎなかった。
ネットワークスイッチの吸排気方向の問題を解決するには
データセンター用ネットワークスイッチの吸排気方向の問題を解決する主な方法は、以下の3つだ。
- 前面吸気/背面排気のシャーシスイッチを購入する
- 各ラックの向きを90度変える
- 排気を背面方向に送る手段を開発または購入する
Lifeline Data Centersは3番目の選択肢を選んだ。同社はデータセンター建設を数多く手掛けているため、板金加工部門を抱えている。キャロル氏によると、同社は社内の板金作業員に指示して、「Uの半分」の形をした金属ダクトを作らせた。このダクトの一方の端がネットワークスイッチの排気口に取り付けられ、他方の端がホットアイルに向けられた。このため、スイッチの高温の排気は隣のスイッチの吸気口に吹き込むことなく、背面に送られた。
あなたの会社が板金作業員を抱えていない場合や、こうしたものを自作することがあまりない場合には、ほかの選択肢が利用できる。Panduitは、ネットワークスイッチの側面に取り付けられるダクトを販売している。Chatsworth ProductsやOpengate Data Systemsのような企業は、排気を強制的に背面に放出するという触れ込みのキャビネットやエンクロージャを販売している。
Panduitのフレミング氏は、ダクトを自社で設計しないことを勧めた。「側面排気を背面排気に変えるための有効なソリューションを作り出すには、通常、流体力学計算や実地テストを何回か繰り返さなければならないからだ」
キャロル氏はそうは考えていない。
Lifeline Data Centersのネットワークスイッチは、「今ではすべて正常な温度に戻っている」と同氏は語った。
また、各ラックの向きを90度変えるという選択肢もある。Cisco Systemsのグーレイ氏はこの方法を勧めている。この方法では、側面吸気/側面排気のスイッチが、実質的に前面吸気/背面排気になる。しかし、この方法にも問題がある。ケーブル管理が厄介になることだ。特に厄介なのが、ケーブルが密集したネットワークスイッチの向きを変える場合だ。ケーブルが邪魔になるからだ。
ラックの向きを90度変えると、保守の際のスイッチへのアクセスが問題になる可能性もある。キャロル氏は、ラックを横向きに配置する場合には、ラック同士を少なくとも1m程度離し、ネットワークスタッフがスイッチに、特にRJ-45コネクタにアクセスできるようにしなければならないと語った。
一方、ホットアイルとコールドアイルが分離されたデータセンターへの設置を想定し、前面吸気/背面排気のスイッチを購入するという手もある。こうしたスイッチにはCisco Systemsの製品のほか、ヒューレット・パッカード(HP)の新製品などがあるが、いずれもポート密度が犠牲になっている。
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