パターンマッチングによる「ネットワーク/PCの負荷」を軽減すべく従来バージョンを刷新。社内とクラウド上にウイルス検出用サーバを設置する方式を採用した。
トレンドマイクロは7月27日、企業向けセキュリティ対策ソフトの新版「ウイルスバスター コーポレートエディション10」(以下、Corp.10)を発表した。社内システムとクラウド基盤とを併用するハイブリッド型のウイルス検索によりネットワークの負荷を軽減する技術を採用したのが特徴。9月10日より受注を開始する。
同社が「フラグシップ製品」とするCorp.10でこだわったのが、ウイルスパターンファイルの肥大化によるネットワーク、クライアントPCのリソース負荷を軽減すること。約2.5秒ごとに新種のウイルスが作り出されるという現在のマルウェアの発生スピードに対して、エンドポイント側で何Mバイトものファイルの配布・更新を必要とする従来のパターンマッチング方式で追い付いていくのには限界がある。Corp.10ではクラウド上でWebサイトや不審な(ウイルス感染の恐れのある)ファイルの危険度を評価する仕組み「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」(関連記事参照)を新たに取り入れた。
SPNでは、ウイルス感染ファイルの検索を実行する「スマートスキャン」サーバを社内に設置して、クライアントPC上には軽量なエージェントと必要最小限のパターンファイルだけを配布する。通常はヒューリスティック(振る舞い)検知用のパターンファイルのみでファイル検索を行い、ウイルス感染の恐れのあるファイルが検出された場合に、感染ファイルのハッシュコードを見てスマートスキャンサーバに問い合わせる仕組みだ。必要に応じて、クラウド上にある最新の評価用データベースを反映したスマートスキャンサーバへ問い合わせを行い、未知の脅威にも対応する。SPNの仕組みを利用すると、ファイル検索がサーバ上で実施され、かつネットワーク上でやりとりするクエリ用ハッシュデータのサイズも軽量で済むため、クライアント処理やネットワーク帯域に掛かる負荷がパターンマッチング方式に比べて大幅に削減される。
また、Corp.10の新機能として、USBメモリ接続時のWindows自動実行機能を抑止する機能を搭載。さらにDVDなどのリムーバブルメディアやネットワークドライブへのアクセスを5段階で制御する機能と合わせて、被害が拡大中のいわゆるUSBウイルスなどの感染対策を強化した。プラグイン機能によるマルチプラットフォーム対応も表明しており、2009年第4四半期中にはMac OSに、将来的にはWindows Mobile搭載のスマートフォンなどにも対応する予定だという。
稼働環境は、管理サーバがWindows Server 2003/2008、クライアント用エージェントモジュールがWindows 2000/XP/Vistaなど。スマートスキャンサーバはVMwareが稼働する仮想環境をサポートしている。価格は、Webレピュテーションなどを含む統合セキュリティ対策(1000クライアント)を導入する場合、1クライアント当たり3300円、基本機能のクライアントモジュールのみでは1900円(いずれも税別)となる。クライアント数に応じて割引料金が適用されるボリュームディスカウント制を取る。
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