プライベートクラウド構築で役立つサードパーティー製品【前編】
プライベートクラウドのエンドユーザー活用とセキュリティ対策
プライベートクラウドの構築で欠かせないセルフサービスポータルと、クラウド専用のセキュリティ対策製品を紹介する。
プライベートクラウドでは、アプリケーションの移動、仮想マシンプロビジョニングの自動化、環境の監視といった作業のためにサードパーティーのツールが必要になる場合がある。他にもサービスカタログ、セキュリティ、ストレージの3分野でサードパーティーツールを活用できる。
サービスカタログあるいはセルフサービスポータルは、プライベートクラウドの要といえる。利用可能なクラウドサービス一覧の選択肢を提示し、エンドユーザーの手にそのパワーを委ねる。しかしサービス利用に対する適切な管理や監視が行き届かなければ、クラウドはコントロール不能に陥りかねない。
セキュリティはあらゆる仮想環境において重視され、クラウドも例外ではない。だがネイティブのセキュリティ対策では不十分なこともあり、従来型のセキュリティ対策ではクラウドを適切に守れない可能性もある。クラウドのストレージ能力は無限にも思えるが、実際には管理ミスや不適切な割り当てが原因となって、ストレージ利用の増大につながりかねない。
サービスカタログとセルフサービスポータル
サービスカタログとセルフサービスポータルは、セルフサービスポータルがサービスカタログのインタフェースの役割を果たすという点で、別のものとして扱われることもある。しかしクラウドでは両技術は1つのものと見なされる。
サービスカタログは一般に、自動化されてユーザーに提供されるサービスの一覧で構成される。これはIT部門が社内ユーザーに提供するサービスの記録元になる。サービスカタログには、バックオフィスITインフラによって提供されるサービスの名称、説明、コストおよび情報などが含まれ、ユーザーがクラウドサービスのメニューの中からセルフサービス方式で選べるようになっている。うまく設計され、統合されたサービスカタログは、クラウドに欠かせない要素といえる。
オーストラリアの金融機関Suncorpはプライベートクラウドの構築に当たり、まず第一段階としてサービスカタログを作成した。同社のサービスカタログには、社内ユーザーのために自動化され、セルフサービスポータルを通じてビジネスユーザーに提供されるクラウドサービスの一覧が含まれる。
サービスカタログは、サービスの一覧とその特徴をクラウド環境のユーザーに提示するだけでなく、設定管理データベース(CMDB)と統合することも可能だ。例えば仮想サーバのプロビジョニングのためにサービスカタログを利用している場合、物理サーバに変更(設定管理チケットを通じてCMDBに提示される)があれば、仮想サーバが利用できるCPUの数にも影響が及ぶ。従ってこの変更はサービスカタログにも反映される。
サービスカタログとセルフサービスポータルは以下のような企業が提供している。
newScale
米Cisco Systemsが2011年4月に買収し、CiscoのITポータル、サービスカタログ、ライフサイクル管理ソフトウェア用ツール「Intelligent Automation」のベースとなっている。物理環境、仮想環境、クラウド環境を通じた作業空間サービスおよびデータセンターのためのセルフサービスストアフロント構築において、IT部門を支援する。
CA TechnologiesのCA Service Catalog
組織によるサービス提供の定義に利用できる。ネイティブマルチテナント機能によって、物理環境、仮想環境、クラウド環境を通じた複数のビジネスモデルを複数の物理カタログでサポートする。決済エンジンを使って自動的に、サービス利用を部局、コストセンター、顧客と関連付け、請求書を送付できる。
Nimsoft Service Deskモジュール
「Nimsoft Unified Manager」のコンポーネント。ユーザーはサービスカタログにアクセスして変更リクエストを提出したり、インシデントを報告したりできる。Nimsoft Service Catalogが使っているチケットテンプレートでは、ユーザーがクラウドサービスのリクエストを入力できる。チケットは全て、リクエスト提出者の情報とチケット情報の組み合わせに基づき、ワークフローエンジンで自動的に担当部門に振り分けられる。
クラウドセキュリティが重視される場面
物理環境からクラウドなどの仮想環境に移行する企業は、セキュリティ対策を更新する必要がある。クラウドベースの仮想環境に、従来型のファイアウォールやウイルス対策ソフトはインストールできない。物理環境のファイアウォールは、複数の仮想サーバを運営しているハイパーバイザーからのトラフィックを検査してフィルタに掛ける設計にはなっていない。どのような防御策を講じるにしても、仮想サーバの起動、停止、移動といったさまざまな動作に対応できなければならない。
クラウドにおけるセキュリティの重要性について、これまで語られなかったことはほとんどない。だが多くの管理者は、どの部分でセキュリティが重要なのかを見過ごしがちだ。例えばハイパーバイザーのセキュリティは重大でありながら見過ごされている。もし仮想サーバが侵入者に制御されれば、ハイパーバーザーも制御されてしまうかもしれない。従業員がスマートフォンや米AppleのiPadのようなタブレット端末で会社のデータにアクセスするのを企業が容認するようになった今、全く新しいセキュリティ問題が前面に浮上しつつある。
従業員がモバイル端末でバックオフィスデータベースにアクセスしている場合、セキュリティ問題は一層深刻化する。モバイルクラウドではIT管理者によるセキュリティの一元管理が可能になり、こうしたセキュリティ問題の解決を支援できる。
クラウドにおけるセキュリティ対策で重要な側面としては監査、侵入検知、アクセス管理、ウイルス対策が挙げられる。クラウドに必要な専用のセキュリティ対策製品は多数のベンダーが提供している。
CatbirdのvSecurity
監査、在庫管理、設定管理、変更管理、アクセスコントロール、脆弱性管理、インシデント対応の7分野において自動化されたモニター機能と実行機能を提供している。
Juniper NetworksのAltor VF
Altorの仮想ファイアウォール技術を、Juniper Networksの「Network and Security Manager」および「STRM Series Security Threat Response Managers」と組み合わせた製品。仮想サーバとクラウド環境のセキュリティ対策に利用できる。
AppRiver SecureSurfクラウドセキュリティスイート
電子メールホスティング、電子メールセキュリティ、アーカイブ、Web防御サービスで構成される。AppRiverの中では比較的新しい製品で、Webフィルタリングとマルウェア対策の機能を持つ。AppRiverではセキュリティサービスをSaaS(Software as a Service)として提供している。
Barracuda NetworksのEmail Security Service
クラウドベースの電子メールフィルタリングサービスを提供。「Barracuda Spam and Virus Firewall」のクラウド保護レイヤーとして利用できる。
McAfee Cloud Securityスイート
電子メールおよびIDトラフィック、Webトラフィックのセキュリティ対策製品。社内に導入するオンプレミスソリューションからSaaSソリューション、その両方の組み合わせに至るまで、さまざまな導入オプションを用意している。
後編では、クラウド環境最適なストレージ利用を手助けするツールを紹介する。
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