ユーザー別のニーズを理解
仮想デスクトップの最適な利用法とは? ユーザーを4タイプに分類
仮想デスクトップを導入するに当たり、ユーザーごとのニーズを把握することは重要だ。ユーザーを4タイプに分類し、仮想デスクトップの最適な利用方法を探る。
仮想デスクトップインフラ(VDI)の導入を考えるに当たっては、社内でどのようなユーザーが、どのようにコンピュータを使うかをじっくり検討することが重要だ。
では、あなたの会社にはどのようなユーザーがいるのか。エンドユーザーの基本的なタイプを定義してみよう。仮想デスクトップの潜在ユーザーとそのニーズを理解することは、VDIがあなたの会社の環境に適しているかどうかを判断するのに役立つ。
| タイプ | 例 | ローカルデスクトップ | リモートアクセス | モバイルアクセス | ローミング |
|---|---|---|---|---|---|
| キオスクユーザー | 不特定多数、非従業員 | 使う | 行わない | 行わない | 行わない |
| タスクワーカー | コールセンター、組み立てライン、受付係 | 使う | 行うかもしれない(大抵はアウトソーシング先のタスクワーカーのみが行う) | 行わない | 行う(オフィス間、支社間) |
| ナレッジワーカー | SAPユーザー、財務部門、経営幹部、営業担当者 | 使う | 行う | 行う(特に、営業担当者と経営幹部) | 行う(オフィス間、顧客サイト間) |
| パワーユーザー | コード開発者、グラフィック開発者、オーディオ/ビデオ制作者 | 使う | 行う(さまざまな場所から) | あまり行わない(パワーユーザーは、多くのコンピューティングパワーや周辺機器を必要とするため) | 行う(パワーユーザーは、どこに行っても仕事ができることを望む) |
キオスクユーザー
キオスクユーザーは、複数ユーザーが共有するデスクトップ(ホテルのビジネスセンターで見られるようなもの)に必要に応じてアクセスし、認証資格情報を一切入力することなく、許可されている機能を全て利用できるユーザーを指す。私の意見では、こうしたユーザー用のマシンは、動的にプロビジョニングされる標準化された仮想デスクトップとして展開するのにうってつけだ。
こうした仮想デスクトップは、安全でないネットワークにのみ接続するようにして展開する。もし何か問題が発生したら、数回クリックするだけで別の仮想デスクトップをスピンアップできる。この展開方式は、キオスクが多数ある場合や、仮想デスクトップを使う他のタイプのユーザーが社内にいる場合、あるいは契約パートナーにキオスクの提供、保守を委託している場合には、財務上および管理上、実現可能な唯一の方式かもしれない。
タスクワーカー
エンドユーザーのもう1つのタイプとして、タスクワーカーがある。タスクワーカーも、動的にプロビジョニングされる標準化された仮想デスクトップにぴったりのユーザーだ。タスクワーカーが扱うデータは業務にとって重要であり、タスクワーカーはリモート接続やモバイル接続を必要としないからだ。例えば、顧客サービス担当者のデスクトップでトラブルが発生した場合、すぐにリストアして動かす必要があるが、こうした仮想デスクトップならそれが可能だ。
しかし、こうした仮想デスクトップユーザー(コールセンタースタッフや受付係など)の多くは、パーソナライズされたデスクトップを使いたいと考える。潜在ユーザーを仮想デスクトップに移行させる場合は、パーソナライズ機能の提供を考慮しておかなければならない。さもないと、「どうしてファイルをローカルに保存できないのか」「デスクトップの背景が昨日までのものと違う」といった苦情を聞く羽目になる。こうした事柄も間違いなく重要だ。
VDIに移行すると不便になるのではないかという潜在ユーザーの不安を和らげるには、ユーザーごとに固有のデスクトップイメージを提供するプライベート仮想デスクトップに移行させることを考えるとよい。ただし、こうしたデスクトップを展開すると、デスクトップ当たりのコストが2~3倍に跳ね上がる恐れがある。それでも、私は一部のデスクトップを、ユーザーごとに固有のデスクトップイメージを提供する方式に変更してきた。結局のところ、管理者とVDIユーザーにとって、それが最善策である場合もある。
ナレッジワーカー
経営幹部などのナレッジワーカーにVDIが適しているかどうかは、一概には言えないことが多い。私がこれまでに担当した顧客では、こうしたワーカーを全面的に仮想デスクトップに移行させたところはない。コストやROIについての比較評価を行ったところ、VDIが優れているという結果にはならなかったことが主な理由だ。仮想デスクトップをこのタイプのユーザーが使うのは、無理がある場合がある。
こうしたユーザーは、モバイルアクセスやリモートアクセスを必要とすることが多い。しかし、これらのニーズに対応するために採用すべき技術は、仮想デスクトップではないかもしれない。オフィス外での生産性を大幅に高めるリモートアプリケーションデリバリーソリューション(米Microsoftのリモートデスクトップサービス(RDS)や、米CitrixのXenAppなどのような)を提供するという手もある。
パワーユーザー
私の経験では、パワーユーザーは一般的に、仮想デスクトップユーザーにならない。パワーユーザーは、物理デスクトップのパワーや周辺機器(メディアリーダーやワコム製品など)に加え、仮想デスクトップでは快適に動かないリソース集約型ソフトウェアが必要なユーザーだ。大量のバックエンドリソースを振り向けて、こうしたVDIユーザーが必要とするものを提供することもできるかもしれない。しかし、その場合は、「ROIはどうなるのか」「管理者にどれだけの負担が掛かるのか」という問題が生じてしまう。
以上のように、VDIに移行する前に、自社の仮想デスクトップユーザーに何が必要なのかを検討しなくてはならない。自社のユーザーに完全なデスクトップが本当に必要なのか。あるいは、彼らはアプリケーションにアクセスできさえすればよいのか。多くの人が忘れているが、ユーザーはRDSを使ってもリモートアプリケーションにアクセスできる。それだけでよければ、RDSやCitrix XenAppで事足りることになる。また、完全な仮想デスクトップの恩恵を受けるようなユーザーのために、これらのサービスとVDIを組み合わせることも可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[スパイスファクトリー株式会社] レガシーに消えるIT予算8割 「刷新か延命か」をAIと人で見極めるための手順 -
製品資料
[JetBrains s.r.o.] ソフトウェア開発は「コーディングエージェント」でどう変わるのか? -
事例
[テクバン株式会社] 太陽ホールディングスは国内外拠点の端末5000台をどう管理しているのか? -
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
「GitLab」に最高深刻度の脆弱性 2014年以降の全版に影響を及ぼす恐れ
-
3
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
4
テザリングにも「限界」がある モバイルルーターを選んだ方がよい基準は?
-
5
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
6
Copilotを使うほど請求が膨らむ? Microsoftが仕掛けるAIエージェント課金
-
7
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
8
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
9
IDaaSの限界を超える一手 複雑な要件に応える「認証オーケストレーション」
-
10
AI時代のITインフラ変革 ネットワークの重要性と「予測をやめる投資」とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー