医療機関でもニーズが高い「デスクトップ仮想化」。電子カルテを中核とする情報活用を促進させるために仮想化技術を導入した呉医療センターの取り組みを紹介する。
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター(以下、呉医療センター)は2011年9月、仮想化技術を活用し、電子カルテシステムを中核とする新しい医療情報システム(HIS)を構築した。本稿では、呉医療センターの統括診療部長 川本俊治氏が「富士通フォーラム」(5月17、18日開催)のセミナー講演の内容を基にその取り組みを紹介する。
広島県呉市にある呉医療センターは、呉海軍病院(1890年創設)を前身とし「その時代の要請に応える最新・最善の医療の提供」に努め、地域住民の健康を支えてきた。現在は28の診療科、病床数700床となり、中国がんセンターや第3次救命救急センター、母子医療センター、緩和ケアセンターといった地域医療の中核を担う高度総合医療施設だ。
これまで呉医療センターではセキュリティ確保のために、電子カルテ「HOPE/EGMAIN-GX」と35の部門システムが連携する「電子カルテ系システム」と、電子メールや診療科データベースなどを利用するインターネット接続が可能な「情報系システム」のネットワークを分離し、それぞれの利用端末を分けて運用していた。しかし、電子カルテの入力情報を別システムに再入力するなど医療スタッフの業務が煩雑であった。また、患者のベッドサイドなどでは治療や照会に必要なインターネットで公開されている論文検索サイトや院内の情報系システムへのアクセスが困難であるという課題を抱えていた。
そこで呉医療センターは、電子カルテシステムのリプレースを機にHISの刷新を検討。電子カルテシステムと情報系システムのアプリケーションを全てデスクトップ仮想化で実装し、1台の端末で両方のシステムを同時に利用できるシステムに刷新した。
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