企業の消費電力の抑制策として、省電力サーバへのリプレースが語られることが多い。しかし、注目度が高い割には市場の伸びは芳しくない。その背景に搭載プロセッサが抱える問題を指摘する声もある。
英ARMのアーキテクチャに基づくプロセッサを搭載するサーバや、米IntelのAtomプロセッサ搭載サーバを採用しているサーバ管理者はほとんどいない。だが、現在開発が進められている64ビットプロセッサ設計はこれらのサーバに目を向ける十分な理由になる。
米Hewlett-Packard(HP)や米Dell、英Boston、一部の小規模ベンダーなど少数のベンダーが、消費電力が低く、スケーラビリティが高いARMサーバの開発、提供に取り組んでいる(関連記事:400ドル以下で静音・省電力 マイクロサーバのススメ)。
HPは、省電力サーバを開発する取り組みとして「Project Moonshot」を進めており、この取り組みによる最新の製品では、ARMプロセッサではなくAtomプロセッサを採用している。Atomプロセッサは現在、一般的にネットブックやスマートフォン、ノートPCに搭載されている。
こうしたプロセッサを採用するメリットとして、低い消費電力と高いスケーラビリティが挙げられると、ドイツのソフトウェア会社Global Infinipoolのマネージングディレクター、マーティン・ショール氏は語った。冷却コストや電力コストの上昇を受け、データセンターマネジャーは、キャパシティー需要の増大に対応できる省電力ソリューションを見つけなければというプレッシャーを感じている。「われわれはまだ実際に試していないが、90%の効率向上を簡単に実現できると思う」(ショール氏)
ARMプロセッサの電力効率の高さは、x86プロセッサによりサーバプロセッサ市場で首位に立つIntelなど、大手プロセッサメーカーにとって頭痛の種だろうと、PC部品調査会社の米Mercury Researchは指摘する。ARMベースのサーバ向けプロセッサは、新興企業の米Calxedaや老舗企業の米Applied Micro Circuitsなどが開発している。
Applied Micro Circuitsは「まさに破壊的な技術を持っている」とショール氏は語った。「彼らの製品は、貧弱すぎて実運用に耐えないと批判されながらも、電力効率の高さでは、大手メーカー製プロセッサを上回っている」
Applied Micro Circuitsは先日、64ビットARMベースのSoC(システムオンチップ)を開発していることを明らかにした。現時点でそのスペックは「CPU速度が3GHz、サーバ当たり最大128コア、メモリ帯域幅80Gバイト/秒」などとされている。これに対し、IntelのXeon E5プロセッサは「クロック速度が3.30GHz、サーバ当たり最大8コア、メモリ帯域幅51.2Gバイト/秒」だ。これは言い換えれば、Applied Micro Circuitsが開発中のプロセッサコアは消費電力が低い半面、1個のx86プロセッサコアと同等の性能を提供するのに、64ビットアーキテクチャであっても16個のプロセッサが必要であることを指している。
x86プロセッサに対抗するこうした省電力プロセッサが普及していない理由は他にもあると、業界ウオッチャーは指摘する。
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