2012年4月の介護保険制度改正に伴って開始された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス」。医療法人 幸晴会は、訪問介護システムとヘルプコールシステムを活用して同サービスを12月に提供開始する。
大阪府八尾市の医療法人 幸晴会(以下、幸晴会)は10月23日、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス」を12月から提供すると発表した。このサービスは、富士通の介護事業者支援システム「HOPE/WINCARE-ES」と富士通テレコムネットワークスのヘルプコールシステムを活用しており、富士通マーケティングがシステム構築を担当している。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、2012年4月の介護保険制度改正に伴って開始された地域密着型の新サービス事業で、ヘルパーや看護師が利用者宅を1日数回定期訪問し、緊急時には24時間体制で対応する。厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」施策の1つで、日常生活圏域の中で医療、介護、福祉における生活支援サービスを提供する(関連記事:2012年は「地域包括ケア元年」 医療・介護連携の今後)。全国70事業所がサービスを展開している(2012年8月末時点)。
だが幸晴会は、サービス事業者にとって「利用者の確保」「農村部や山間部など人口密度の低い地域における移動効率」「1回当たり15分〜20分という短時間での業務遂行」「採算の確保」などの課題があり、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの提供が進まない状況にあると判断。これらの課題を解決し、利用者サービスのさらなる向上と地域貢献を目指して、同サービスを12月1日から提供する。幸晴会は以下の3種類のサービスを提供する。
電話対応サービス:専属の看護師や介護福祉士が電話対応(24時間365日体制)
定期巡回サービス:スタッフが決まった曜日、時間帯に利用者宅を定期巡回し、おむつ交換などの介護、介助を実施
随時訪問対応サービス:コールセンターへの緊急連絡時の訪問対応(24時間365日体制)
幸晴会の定期巡回随時訪問サービスのスタッフ体制は、専任常勤職員3人、非常勤職員3〜5人(3交代制)。さらに日中は「中谷クリニックヘルパーセンター」、夜間は「夜間対応 安心コール中谷」のスタッフが介護とオペレーター業務を兼務する。訪問介護サービスは、法人内の訪問看護部所属の看護師が兼務で担当する。
同サービスの提供に当たり、富士通マーケティングが夜間対応型訪問介護事業で実績があるHOPE/WINCARE-ESとヘルプコールシステムを連携するシステムを構築した。両システムで利用者情報を共有する(関連記事:富士通が考える医療ITの未来像とは? 医療分野での同社の取り組みを説明)。スタッフはその情報を参照して、訪問者の選出や指示などの業務が迅速に行えるという。また、ヘルプコールシステムに入力した利用者への電話・訪問の対応履歴などの情報は、HOPE/WINCARE-ESで介護請求データとして処理され、介護レセプトの請求業務の効率化も図れる。
サービス利用者には、自宅にヘルプコール用の室内設置端末やハンズフリーのペンダント型端末を配布。定期巡回での訪問以外に夜間の転倒など介護・看護が必要になった場合、端末ボタンを押下するだけでヘルプコールができる。コールセンター側では、HOPE/WINCARE-ESとのデータ連携によって、ヘルプコールの受信と同時に利用者の基本情報が把握でき、サービスの利用状況を確認しながら対応できるという。当初は登録数30人、平均介護度3.0を目標にしている。
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