仮想環境のセキュリティ対策は、物理環境と共通する部分が多い。ただし、仮想環境特有の要素であるハイパーバイザーは別だ。その主要なセキュリティ対策を紹介しよう。
ハイパーバイザーのセキュリティ対策は、あらゆるデータセンターにおいて優先すべき課題だ。1台のホストサーバで何十もの仮想化されたワークロードを処理することもある。ホストサーバ1台でもセキュリティが破られれば、大規模な障害につながりかねない。残念ながら、単独でデータセンターのセキュリティ対策を保証できる包括的な手段は存在しない。優れたセキュリティ対策のためには、多面的なアプローチが必要だ。仮想サーバ環境をセキュアに保つためにやるべきことは多数ある。
仮想データセンターのセキュリティ対策における最初の1歩は、ホストサーバの攻撃対象を狭めることだ。特に米MicrosoftのHyper-Vは、Windows Serverにロールとしてインストールされることも多く、攻撃対象を減らすことが重要になる。
もし仮想化ソフトウェアを実行するホストサーバ(仮想ホスト)でホストOSを利用する場合、ホストOSには、不必要なロールや機能やアプリケーションがあってはならない。ホストOSは、Hyper-Vやウイルス対策ソフトウェア、バックアップエージェントといった重要なインフラ要素の稼働専用にする必要がある。
ハイパーバイザーのセキュリティ対策強化のためにできるもう1つの対策は、OSを実稼働ドメインに加えないことだ。その代わり、専用のActive Directoryのフォレスト(管理単位)に、仮想ホストの管理のみを目的とした専用の管理ドメインを作成する。この種のドメインを利用すれば、仮に仮想ホストのセキュリティ対策が破られた場合でも、実稼働ドメインを危険に晒す心配はなくなる。他にも、仮想ホスト管理ドメイン用に物理ドメインコントローラーを使う方法もある。
可能であれば、ホストOSの利用は避けるに越したことはない。やむを得ずホストOSを使う場合、米Microsoftは、攻撃対象領域が小さいという理由で、Windows Serverの中核機能のみで構成された「Server Core」の利用を勧めている。さらに、管理トラフィックを仮想マシン(VM)のトラフィックから切り離すには、ホストOSに専用の物理ネットワークアダプターを使うことが望ましいという。
仮想ファイアウォールとソフトウェアファイアウォールの使用も、ハイパーバイザーセキュリティ対策の強化に役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。
ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。
ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。
DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。
サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...