電子カルテの導入やシステムリプレースなどに悩む医療機関のシステム担当者、電子カルテの開発に携わる人に贈る新連載。エッセイのテーマに沿い、最新の知見とユーザー視点から医療現場の課題への解決策を提案する。
2011年にサイエンティスト社から刊行された『電子カルテは電気羊に食べられる夢を見るか』(加藤五十六 著)。同書は、25年以上にわたりオーダリングや電子カルテなどの病院情報システム(HIS)に関与した著者の経験に基づいた、医療現場における電子カルテの導入や利用に関するエッセイ集だ。刊行前の2009年に加藤氏は急逝したが、電子カルテ導入やシステムリプレースなどに悩む医療機関のシステム担当者、電子カルテの開発に携わる人々にとっては貴重なアドバイスとなるメッセージが込められている。
本連載は、医療の質を向上させるためのITシステム構築を目指して設立された研究会「日本ユーザーメード医療IT研究会」(J-SUMMITS)のメンバーが、同書のテーマに沿って最新の知見とユーザーメードの視点から医療現場の課題への解決策をリレー形式で提案する。連載開始に当たり、今回は加藤氏の大学時代の同期である岡垣篤彦氏(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 医療情報部・産婦人科)が、その人柄や医療情報分野における業績、本連載の趣旨などを紹介する(編集部)。
私と五十六先生は大学の同期で学生時代以来の長い付き合いです。彼は合理的思考を身上とし、アグレッシブで勇敢な性格、権威を恐れない態度を持っていましたが、その気質は既に学生時代に完成されており、当時から友人たちの信頼を得ていました。彼はスキー、オートバイ、コンピュータに通じており、私のスキーの師匠でもあります。スキーは競技スキー、それも滑降のスペシャリストでした。五十六先生のもう1つの著書『肥満自転車』(エイ出版社)でも触れられている「筋肉質の肥満体」で体重100キロ超。最小の空気抵抗である球体に近い体型を生かして時速100キロ以上で滑り降りる姿は「黒い砲丸」と呼ばれていました。
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