エンタープライズディスクストレージ製品紹介:NEC
仮想化環境の必須要件を満たすミッドハイストレージ「iStorage M700」
NECが2012年11月に販売開始した「iStorage M700」は、SSDの二次キャッシュやキャッシュ分割機能など、クラウドや仮想化との親和性を高める機能を備えたミッドハイモデルストレージだ。
ユニファイドストレージに生まれ変わった「iStorage Mシリーズ」
NECの「iStorage」は、SAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)、バックアップまで幅広い製品ラインアップをそろえるストレージ製品のブランドだ。その中心的な位置を占めるのが、ユニファイドストレージの「iStorage Mシリーズ」である。ここで「おや?」と思われた方もいるかもしれない。iStorage Mシリーズといえば、これまではSANストレージとして広く知られてきたからだ。
NECは2013年5月15日、iStorage MシリーズをNASプロトコルに対応させるためのオプション製品「Nh4a」「Nh8a」をリリースした。これらをiStorage Mシリーズと組み合わせることで、SANとNASどちらにも対応可能なユニファイドストレージとして利用できるようになったのである。
また、2012年11月にはMシリーズの最上位機種として「M700」というモデルがラインアップに新たに加わっている。それまでのiStorage Mシリーズのラインアップには、エントリモデルの「M10e」「M100」、ローエンドモデルの「M300」、そしてミッドレンジモデルの「M500」があった。新たにミッドハイモデルとしてM700が加わったことで、それまで多かった小規模~中規模システムでの適用のみならず、大規模システムでも導入しやすくなった。
NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 商品マーケティンググループ 主任 平石 淳氏によれば、こうしたラインアップ拡充やオプション追加を行った主な理由は、「仮想化やクラウドの普及に伴って寄せられるようになった新たなユーザーニーズに応えるためだった」という。
「企業ITの世界で“サーバ仮想化”はすっかり当たり前の技術となり、今や多くの企業はその次のステップである“クラウド”へと歩を進めようとしている。しかし、いざサーバを仮想化しても、ストレージがボトルネックになって十分なパフォーマンスが得られないケースが多々見受けられる。こうした問題に対処するため、iStorage M700にはクラウドや仮想化との親和性を高めるためのさまざまな機能が盛り込まれている」
また、iStorage Mシリーズをユニファイドストレージ化した理由の1つに「仮想化環境特有の課題への対処」があったという。仮想化環境ではOS領域をSANストレージ上に置く、いわば「SANブート」の構成がよく取られる。一方、共有データの格納先としては、SANストレージよりNASストレージの方が使い勝手がいい。従って、両方の用途をユニファイドストレージ1台に集約できれば、仮想化環境の利便性が高まるとともに、運用性も同時に改善することができるのだ。
さらには「ビッグデータの潮流に対応する上でも、NASストレージの機能は欠かせない」と、平石氏は指摘する。
「かつての企業ITでは、不要なデータはストレージのコストやパフォーマンスに悪影響を及ぼすので捨てていくという考え方だった。しかし近年では、『現時点ではたとえ不要だと思われるデータでも、将来的にはビッグデータ分析のネタとして使えるかもしれない』との思惑から、どんなデータでも取りあえずは溜めておく方針に変わってきている。またデータサイズの面でも、画像や動画など大容量のファイルデータが増えてきている。こうしたことから、大容量のファイルデータを溜め込んでおくのに適しているNASの重要性は、今後ますます増してくると考えている」
クラウドや仮想化との親和性を高める機能を備えたiStorage M700
ではiStorage M700は、具体的にどのような機能でクラウドや仮想化との親和性を高めているのだろうか? ここでは、同製品ならではといえる特徴的な機能を幾つか紹介してみたい。
データ最適配置
近年、SSDの容量単価の低下に伴い、ストレージの記憶媒体としてSSDを採用する例が増えてきている。SSDはHDDと比べてアクセススピードが圧倒的に速いため、SSDをより多く搭載するほどスループットも向上する。特に仮想化環境においては、多くの仮想サーバや仮想デスクトップのワークロードを共有ストレージ上で集中的に処理する必要がある。そのため、SSDによるディスクアクセス高速化の効果が高いとされている。
しかし、まだまだHDDと比べれば高価なため、全ての容量をSSDでまかなうのはまだ現実的ではない。そこで考え出されたのが、いわゆる「ストレージ階層化」や「ティアリング」と呼ばれる技術だ。これらは、最近のハイエンドストレージ製品ではかなり一般的な機能になってきた。iStorage Mシリーズでは最上位機種のM700はもちろんのこと、下位モデルのM500とM300でもストレージの記憶領域を高速なSSD、中速度のSASディスク、低速のニアラインSASディスクの3階層に分け、各仮想ボリュームをアクセス頻度に応じて適切な階層に自律的に配置するストレージ階層化機能を備えている。
SSD二次キャッシュ
もう1つ、スループット向上のためにSSDを有効活用する機能が「SSD二次キャッシュ」だ。これは簡単に言えば、コントローラーのメモリキャッシュに収まりきらないデータを、SSDに二次キャッシュとして格納し、キャッシュのヒット率を高めることでデータ読み出しのスループットを向上させるという技術だ。またSSD二次キャッシュは、通常のデータ読み出し時だけでなく、二重化されたコントローラーの片方が故障した際の書き込み性能の低下を防止する役目も果たす。
キャッシュ分割機能
コントローラーのキャッシュメモリ自体にも、特徴的な機能が備わっている。業務ごとにキャッシュメモリの使用領域を分割し、ある業務の処理負荷が他の業務のキャッシュメモリ領域を食いつぶして、スループットに悪影響を及ぼさないようにするという機能だ。「これは当初、本番環境と開発環境で同じストレージで共有するなど複数の業務を統合するケースにおいて、本番環境の性能を開発環境に影響されることなく安定的に確保するために開発された機能だったが、クラウド環境においても極めて有効に機能する」と平石氏は述べる。
アドバンストダイナミックプール
仮想化環境に適したストレージの必須要件としてよく挙げられるのが「ボリュームの仮想化」と、それによって実現される「シンプロビジョニング」の機能だ。iStorage M700も仮想化対応としてこれらの機能を備えている。それに加えて、NEC独自の技術でさらにユニークな仮想化機能へと進化させている。それが「RAIDの仮想化」と、それによって実現される「アドバンストダイナミックプール」という機能だ。
これは簡単に言うと、RAIDの単位を物理的なRAIDコントローラーから切り離して仮想化し、より柔軟に制御しようというもの。例えば、通常であればRAID 1構成のストレージを拡張する際には、2つのディスクをペアで追加する必要がある。しかしiStorage M700では、たとえRAID 1構成であっても1台ずつディスクを追加していくことができる。新たにディスクが追加されると、iStorage M700が自律的にデータを全ディスクにわたって再配置し、仮想的なRAID構成を組んでくれる。
「管理者は物理的なディスク配置を意識した設計を行わずとも、ストレージ全体の性能最適化を容易に実現できる。また他社製品では、ディスクの増設回数に制限があることもあるが、iStorage M700に関しては何回でも増設できる点が差別化ポイントだ」(平石氏)
その他、VMwareが提供するストレージAPI「VMware vStorage APIs for Array Integration(VAAI)」をサポート。従来、サーバを介して処理していた仮想マシンの複製や移行、新しい仮想マシン作成時の初期化処理、ストレージ領域の排他制御などを、ストレージ側で実行できる。
ミッドレンジストレージ製品としては世界トップの性能を記録
以上で挙げたように、クラウドや仮想化環境での利用・運用を考慮に入れたさまざまな機能を備えるiStorage M700だが、基本性能の面でも業界トップクラスのスペックを備えるという。事実、同製品は「SPC Benchmark-1」において、ミッドレンジクラス製品としては世界No.1のIOPS値を達成している(ミッドレンジクラス:2コントローラー構成、装置最大HDD搭載台数1000台未満、2013年5月8日現在)。
また、実際にiStorage M700を導入しているユーザーも大手企業が多く、その用途のほとんどが基幹系システムのバックエンドストレージだという。また、大規模システムやデータセンターにおける運用では欠かすことができない省電力性能も、旧機種と比べ大幅な向上を果たしている。2.5型ディスクを新たにサポートしたことでユニット数が減り、消費電力量を半分以下まで減らせる他、従来通りの3.5型ディスクでも消費電力量を3分の2まで削減しているという。
「今後も個々の技術の発展やブラッシュアップには随時追従していくが、iStorage M700とNASオプションを出したことによって、当面必要となるストレージ関連製品は取りそろえている。今後はそれらを使って、いかに顧客に価値の高いソリューションを提案できるかに注力していく。具体的には、やはりクラウドやビッグデータといったキーワードが鍵を握ることになると思う」(平石氏)
iStorage M700の価格は、最小構成時で1765万円(税別)からとなっている。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 筐体構成 | 3.5型ドライブ対応エンクロージャを80台、2.5型ドライブ対応エンクロージャを40台まで接続可能 |
| ホストインタフェース | 8Gbps FC × 48、1Gbps/10Gbps iSCSI × 24 |
| サポートRAID構成 | RAID 0、1、5、6、10、50、60、トリプルミラー |
| キャッシュメモリ | 48Gバイト/96Gバイト |
| 搭載ディスクドライブ数 | 3~960台 |
| 最大ディスク容量(RAID 5構成時のニアラインSASの場合) | 3033Tバイト |
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