2年を費やしてWebサイトをリニューアルした英Eurostar。新サイトは強化されたチケット予約機能にとどまらない、IT基盤としての側面を持つ。同社CIOが語る今後のIT戦略とは?
2013年3月、英Eurostar(訳注)はCIOのクリストフ・ルメール氏の指揮の下、新しいWebサイトをローンチした。これは、この10年で最大のIT展開プロジェクトの1つで、Eurostarの新しいITアーキテクチャの礎になる。
訳注:英国、フランス、ベルギー間で運行される国際鉄道会社。
ルメール氏にとって、この新しいEurostar.comは、サイトの再ローンチ以上の意味を持つ。「これは重要な投資で、ここ数年間で最大の情報システムプロジェクトの1つだ」
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以前のWebサイトは2002年に設計されたもので、ルメール氏によると、eコマース界では極めて古いシステムだという。「従って、お客さまには十分なエクスペリエンスを提供できていなかった。以前のサイトは、チケットを予約するために12回もクリックする必要があった。また、Webサイトにアクセスするたびに入力しなければならない情報が山ほどあった。10年前はこれが最先端のエクスペリエンスだったのだが」
「新しいサイトでは、5、6回のクリックで予約できる。また、たとえロイヤルティープログラムのメンバーでなくても、Webサイトのエクスペリエンスは格段にパーソナライズされる予定だ。例えば、最新のWebサイトにはクレジットカード情報を保存するオプションがあり、次回予約をするときに“エクスプレスチェックアウト”を利用できるようになる」
このプロジェクトには2年が費やされた。このサイトのローンチは、数々の変化の始まりにすぎない。
「夏には、リアルタイムの列車運行情報機能を追加する。これは、鉄道の利用者やターミナル駅に出迎えに来た人々に期待されている機能だ。現時点では、駅の情報ボード以外に運行状況を確認できる手段はない」
Eurostarの商品は無形であり、チケットを購入できるかどうかはさまざまな条件に左右される。そのため、チケット販売の基盤システムは、標準的なeコマースプラットフォームに比べて複雑だ。「システムは非常に複雑で、購入する商品はリアルタイムで顧客に合わせて生成される」
つまり、旧システムは刷新する必要があった。Eurostarでは、Capgemini UKをWeb層に採用してシステムを再構築することになった。
Eurostarの全従業員数は1700人だが、情報システムチームのスタッフは50人にも満たない。そこで、システムアーキテクチャやビジネスアナリシス、サービス管理は社内で対応しながらも、ITサービスと保守は外注せざるを得ない。
「社内の開発者は多くないので、新しいプロジェクトでは基本的に、既に完成しているシステムを購入している。その他の開発は、外注している」とルメール氏は話す。
「Eurostar.comプロジェクトでは多くのことを学んだ。新しいサイトというだけでなく、新しい流通システムの基盤になるものを構築したかった。Eurostarのチケットを購入する方法はコンタクトセンターやモバイルなどさまざまで、それぞれが異なるシステムを基盤にしている。新しいWebサイトでは、ユーザーインタフェースの裏にあるロジックの大半を再利用可能にするツールボックスを導入したかった。“カスタムメイド”の部分は、このインタフェースだけだ」
「購入および導入済みのソフトウェアは、モバイル、コンタクトセンター、そしてターミナル駅のチケット予約システムにも使う予定だ」。このように、Eurostarでは、サイトの基盤のITシステムや決済システムをその他のオペレーションに再利用する予定だ。「われわれの計画は、“再利用すること”だ。レゴブロックのセットを買ったようなものといえるだろう」
「従ってこのWebサイトを皮切りに、流通システム、決算システム、運用システムのアーキテクチャを拡張するのが、今後4年間の情報システムのロードマップになる」
「前のサイトが古すぎたので、サイトの再構築は避けられないことだったが、それ以外にさまざまなことを考える機会にもなった」
ルメール氏は、さらに長期的には、ビジネスインテリジェンス(BI)を使って顧客情報関連で不足している機能を補強したいと考えている。
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