電子カルテ導入プロジェクトでは、ベンダーからたくさんの担当者が病院に訪れる。導入プロジェクトを成功させるには、その中からキーパーソンを探し当て良好な関係を築く必要がある。
医療現場における電子カルテの導入や利用に関するエッセイ集『電子カルテは電気羊に食べられる夢を見るか』(加藤五十六 著)を題材に、「日本ユーザーメード医療IT研究会」(J-SUMMITS)のメンバーが現場の抱える課題の解決策をリレー形式で提案する本連載。今回は、都立広尾病院 小児科 山本康仁氏が自身の経験を踏まえながら、「電子カルテベンダーとのより良い付き合い方」を提案する(関連記事:医療現場のIT化に尽力した加藤五十六先生)【編集部】。
電子カルテ導入プロジェクトとなると、名刺管理が破綻するほどのベンダー担当者が大挙して病院を訪れる。プロジェクトマネジャーをはじめ、担当システムエンジニア(SE)、そのサブSE、営業SE、統括部長、紹介されることのないフィールドSEたち、操作説明SE、ネットワーク担当、最後の方では大量に動員されるセットアップ作業員などだ。その所属も本社や該当地域の支社、子会社など多岐にわたる。
加藤 五十六先生のエッセイでは、ベンダーの複雑な所属構成や担当者の能力の違いについて興味深い観察が書かれている。プロジェクトを成功させるためには、適切な相手に、適切な内容を伝える必要がある。名刺に記載されたメールアドレスや宿泊先、Googleの助けを借りて名前で検索することなどで、相手の本質を見極めようというのだ。
しかし、導入プロジェクトの場合、医療者側が涙ぐましい努力をしないとうまくいかないこともある。当院の場合、グループ病院で横展開済みの電子カルテを導入することになり、既にベンダーやパッケージ、機能要件などが決定済みだった。また、当院はグループ内3番目の導入ということで、システムのカスタマイズもままならず、単なるマスター設定ぐらいしか回ってこなかった。そうはいっても、しっかり担当者を見極めるため、導入会議の冒頭で「どこの誰が何を担当し、ブロックごとの責任者を明確化し、連絡先と指揮系統図を提出するよう」に発言した。そもそも、普通のプロジェクトであれば、第1回資料に用意されてしかるべき内容である。グループ病院の導入が完了した直後だったので、そうした組織図はすぐに提出されるかと思ったが、結局、紆余曲折あって数週間しないと出てこないまま会議が進んだ。
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