ITを活用した医療機関同士の診療情報連携が進んでいるが、単に電子カルテの情報を参照する方法では現場の医師に過重な負担を与えるという指摘がある。
前回の「医療再生に不可欠な『日本版EHR』構想の問題点」に続き、6月13日に開催された「日本版EHRの実現に向けた研究」研究班(以下、日本版EHR研究班)の2010年度成果報告会の内容を紹介する。日本版EHR研究班は、電子化共通規格や日本版EHR実現に向けた疾患別クリティカルパスの標準化などの実証実験を展開してきた。
現在、電子化された医療情報を交換するための標準規格として「HL7」(Health Level 7)や「DICOM」(Digital Imaging and Communications in Medicine)などが国際的に広く利用されている。しかし、システム間での相互運用性が必ずしも確保されているとはいえないのが現状だ。そのため、規格準拠の形式でデータを送信しても、受信側システムとの食い違いが生じることもある(参考記事:医療のIT化が遅れている原因は何か?)。
そこで、さまざまな医療情報システムの情報連携のガイドラインを提供する「IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)」という活動が行われている。日本版EHR研究班では、連携パス電子化共通規格分科会が担当している。
同分科会の木村通男氏(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部 教授)は「医療機関の診療情報連携が進むにつれ、単に電子カルテの情報を参照する連携方法では医師に過重な負担を与えてしまう」と指摘する。同氏によると、現状ではシステムごとに異なる数値基準や表示形式を取る大量の診療情報を確認しなければならないという。
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