2万台のサーバを擁していたIntelも、一般企業と同じく低いサーバ利用率が課題だった。同社ITディレクターに、Intelの仮想化/クラウド導入の事情を聞いた。
Intelは業界をリードするチップメーカーであり、社内ITも一般の会社と事情が異なりそうだが、実際は多くの大企業と同じ課題を抱えている。
ITディレクターのクリス・ショー氏は、Intelの欧州、中東、アフリカ地域のITの責任者だ。同氏によると、Intelも仮想化とクラウドコンピューティングへの移行の流れに乗っているという。
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Intelのクラウド導入は、約2年前に始まった。IT部門は莫大なコンピューティング能力を確保できるかもしれないが、新たに導入するアプリケーションが利用できるリソースを把握することが重要だとショー氏は言う。
サーバ仮想化プロジェクトが始動していない数年前、Intelには2万台のサーバがあったが、使用率は平均38%にすぎなかったとショー氏は振り返る。
多くのIT部門長と同様に、ショー氏も業務部門のマネジャーたちへの対応に苦慮している。彼らは、大抵のアプリケーション要件にオンデマンドで対応できるクラウドがあるにもかかわらず、自部門専用のサーバを欲しがる。
「自分たちのアプリケーション専用のリソースを確保しようとする勢力が社内にいるという意味では、IntelのIT部門は他の企業のIT部門と基本的に変わりはない」とショー氏は話す。
IT部門側は、コストを削減できることを証明するデータを提示する必要があるとショー氏は説く。また、各チームに専用のインスタンスが提供され、インストールするアプリケーションを完全に自分たちでコントロールでき、パフォーマンスが低下しないようIT部門が責任を持って管理すると、業務部門のマネジャー1人ひとりに説明しなければならない。
IntelのITチームは使用状況を監視して、物理サーバと仮想マシン(VM)の比率を決め、その上で業務部門のマネジャーと交渉して、その後18カ月にわたりどの程度の拡張が予想されるかを計算したという。
最近のチップのメリットの1つは、ハードウェアを分割して物理CPUコア別にアプリケーションを実行できる点だとショー氏は語る。
特定のコアをVMに割り当てることは可能だが、それではハードウェアを特定のアプリケーション専用にすることと大差ないため、ショー氏は特定のコアを特定のVM専用にすることは薦めない。
Intelが完全な仮想化を達成するまでにほぼ3年を費やした。最初に取り掛かったのは、小さな機能だった。「Webアプリケーションはリスクが少ないと同時に、(インフラの)スケーラビリティを確認できる」(ショー氏)
その後、エンタープライズシステムの仮想化に着手した。「大規模なERPのアップグレードを行い、ソフトウェアとハードウェアを移行したことで、規模の経済を手に入れた」
ショー氏によると、エンタープライズシステムを仮想化システムで運用するメリットの1つは、複数のVM間でデータベースの負荷を分散できることだ。その結果、エンタープライズシステムのスケーラビリティが向上する。また、VMを使うことで自動的に冗長性を確保できる。
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