クラウド導入を進める英ジャガー・ランドローバーが大手ベンダーに抱く不満「大手ベンダーや大手SIを利用したくなかった」

仮想化、自動化、デスクトップ仮想化によりITを刷新した英自動車メーカーのJaguar Land Roverは、インフラのIT効率、アジリティ、拡張性をさらに高めるため、クラウドの導入を図っている。

2013年11月06日 08時00分 公開
[Archana Venkatraman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 英自動車メーカーのJaguar Land Roverは、この2年間で仮想化と自動化の他、業務に必要なモバイル機能とコラボレーション機能を実現するツールを導入してデータセンターインフラをアップグレード。英国中心だったITをグローバルな設備へと一変させた。

 Jaguar Land RoverのITチームは、英国のデータセンターにVMware vSphereを採用し、仮想マシンをプロビジョニングして世界各地のエンジニアが利用できるようにしている。

Computer Weekly日本語版 2013年11月6日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年11月6日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 同社のゴードン・マクマランCTOによると、仮想化のおかげで全てのデータ、アプリケーション、IPリソースを英国内に保持し、中央のITチームがIT資産を完全に管理しながら無制限のデータアクセスを世界中のエンジニアに提供できているという。Jaguar Land Roverの狙いは、そこから仮想化をさらに進めて、アジャイルなインフラを構築することだったと、マクマラン氏は言う。

 「弊社の長期的なロードマップは、拡大するJaguar Land Roverのサプライヤー、エンジニア、ユーザーベースに合わせて拡張できる、スケーラブルでアジャイルなITインフラを構築することだ。しかし同時に、インフラのテクノロジーに気を取られず、もっと戦略に関わるIT課題に力を注ぎたいという思いがある」(マクマラン氏)

 Jaguar Land RoverのITチームにとって、IT資産の仮想化はクラウドへの第一歩だった。

 「弊社は、クラウドに関してはまだ比較的成熟度が低い。現在は、米VCEのVblockの導入を精力的に進めている。Vblockは、Cisco、EMC、VMwareのコンピューティング、ネットワーク、ストレージテクノロジーを統合する、垂直統合型のクラウドPaaS(Platform as a Service)だ。VCEのクラウドプラットフォームは、VMwareの仮想化テクノロジー向けに設計されている」とマクマラン氏は説明する。

 選定に際しては、数社のクラウドベンダーに問い合わせをした。最終的にVCEを導入することに決めたのは、Jaguar Land Roverの仮想化されたインフラとの親和性と、統合済みですぐに利用できる点が決め手となった。「評価をした結果、弊社の利用ケースでは、Vblockが最適だった」とマクマラン氏は説明する。

 マクマラン氏はさらに、プロセスに時間がかかり、複雑なため、大手ベンダーや大手システムインテグレーターを利用したくなかったと明かす。「大手SIには、新規のクラウドユーザーがすぐにクラウドを利用開始できる簡単なプロセスがない。VCEのように、古くからの業務慣行に縛られず、すぐにサービスを提供できる新しい企業を弊社では求めている」

 VCEのVblockインフラは、Jaguar Land Roverの仮想化されたデータセンターに導入され、同社のプライベートクラウドとして機能する。まずプライベートクラウドを導入し、その後パブリッククラウドサービスを導入してハイブリッドクラウド環境に移行するというのが、Jaguar Land Roverのクラウド戦略だ。

 「プライベートクラウドの導入後、パブリッククラウドを導入し、ハイブリッドITを構築することは、よく知られたクラウド成熟度モデルの1つだが、それを弊社ではクラウド導入戦略にしている」とマクマラン氏は説明する。

 Jaguar Land Roverは、エンジニアリング関連と設計関連のアプリケーションも含めて、ビジネスクリティカルなアプリケーションとワークロードをVCEのプライベートクラウドプラットフォームに移行する予定だ。

 Jaguar Land Roverの場合、知的財産(IP資産)がビジネスに極めて重要であるため、ITインフラのセキュリティが何よりも大事だ。

 最初にプライベートクラウドサービスを導入することにした主な理由は、プライベートクラウドの持つ企業ユースへの対応力、洗練されたシステム、セキュリティ、既存インフラとの親和性だ。「基盤のテクノロジーの問題に煩わされたくない」とマクマラン氏は言う。

 パブリッククラウドサービスは、コンシューマー向けアプリケーションと、マーケティング、広告、モバイルコンピューティング関連のワークロードに利用する予定だ。パブリッククラウドに関してはプロバイダーを評価している段階で、現在は堅牢なプライベートクラウドインフラを構築することに注力している。「大半のワークロードはVCEクラウドに配置するが、約10%はパブリッククラウドプラットフォームに配置する」ことになる。

 さらにマクマラン氏は、クラウド導入について、次のように語っている。

続きはComputer Weekly日本語版 2013年11月6日号にて

本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 発注ナビ株式会社

SaaS導入の失敗を回避、適切な選定を支援するマッチングサービスとは?

ある調査によると、67.4%の企業が「SaaS製品の導入に失敗した経験がある」と回答しているという。そんな中、適切な選定・導入を支援するマッチングサービスが注目を集めている。本資料では、サービスの特徴や運用の流れを紹介する。

技術文書・技術解説 Datadog Japan合同会社

AWS、GCP、Azureなどクラウドネイティブ環境における5つのセキュリティ強化策

Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどクラウドネイティブ環境のセキュリティを強化するには何をすればよいのか。ログの収集や分析を高度化するためのベストプラクティスを解説する。

技術文書・技術解説 NHN テコラス株式会社

初心者向けAWS活用ガイド:クラウドアーキテクチャの基本と実践的なポイント

AWSを活用する企業にとって、クラウドアーキテクチャの基本と実践的なポイントを理解することは不可欠だ。そこで、需要に応じたスケーリングの方法や、障害を前提としたマルチAZ構成の手法など、AWS活用のベストプラクティスを紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「98%がVMwareからの移行を検討」の衝撃

BroadcomによるVMware買収を受けて、VMware製品から代替製品への移行を検討する動きが広がっている。その背景にある企業の本音と、有力な移行先として注目される製品とは。

市場調査・トレンド アイティメディア広告企画

クラウドをやめて「オンプレミス回帰」する企業続出 後悔しない見極め方は?

システムのパブリッククラウド移行が進む一方で、パブリッククラウドからオンプレミスに戻る「オンプレミス回帰」を選ぶ企業が相次いでいる。背景には何があるのか。パブリッククラウドとオンプレミスシステムの違いとは。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...