Royal Bank of Scotlandは、顧客データを分析して、顧客のサプライチェーンが内包するリスクを評価、提供するサービスを開始した。数Tバイトのデータ分析を可能にしたシステムとは?
英Royal Bank of Scotland(RBS)は、企業顧客のサプライチェーン全体のリスクを評価する分析用ニューラルネットワークを構築した。
同行は、銀行取引の付加価値を引き出すためにもデータ分析を取り入れている。2013年、同行は経営陣や顧客対応チームに有益な情報を提供することを目的に、Customer Solutions Group(CSG)を編成した。CSGは約150万の企業顧客データにアクセスし、1日70億ポンド(117億ドル)、年間1.5兆ポンド(2.5兆ドル)を超える取引を監視する。
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RBSの最高分析責任者(CAO)のアラン・グローガン氏は「高度な分析を使ってデータを自在に扱いたい」と話す。
RBSでは、顧客が優れたビジネス戦略を策定できるよう支援するため、マクロ経済の広範な状況や、顧客が抱えるクライアントの動向を詳しく洞察する必要があった。同氏によると、分析は銀行の企業顧客だけでなく、RBSのリスク管理プロセスにとってもメリットになるという。
RBSが米Gartner主催のBusiness Intelligence Summitに招かれてこのプロジェクトについて講演を行ったグローガン氏は、RBSでは銀行業界でも独特の方法で分析を活用していると述べた。
「どのようなビジネスにもサプライチェーンがある。支出の流れをつなぎ合わせていけば、ニューラルネットワークになる」
取引を追跡し、金銭の流れを追いかけることによって、RBSは同行の企業顧客のサプライチェーンを導き出すことができた。
同氏は、サプライチェーンの把握が重要な理由を、「顧客がさらされているリスクを顧客自身が理解できるようにするため」と話している。例えば、同氏によれば、製造業は英国経済において1600億ポンドの価値があるという。この業界が内包するリスクは、英国経済に直結する。「スマートフォンに使われる貴金属の供給元が外国、例えばウクライナなどの場合、供給が途絶えれば英国経済に影響する」
これは、2011年、東日本大震災により米General Motors(GM)などの自動車メーカーが陥った状況だ。「震災の影響で衛星ナビゲーションシステムやコンピュータシステムの半導体の供給が滞ったため、GMなどの自動車メーカーの生産に遅れが生じた」とグローガン氏は話す。
これまで、顧客のサプライチェーンのリスクに対してアドバイスを行っていた銀行はなかった。しかし同氏によれば、「RBSは多数のデジタル情報を所有しているため、ほぼリアルタイムにサプライチェーンのリスクを調査できる」という。
グローガン氏は、このような分析の利用方法を「バンキング2.0」と表現している。「バンキング2.0」では、同行がビッグデータと分析を活用して、事実に基づいて全ての決断を下す。これにより、取引関係を協力関係に変えることができると同氏は話す。
RBSは、この新しい分析機能を活用したビジネスを立ち上げるのだろうか? それについて、グローガン氏は次のように述べている。
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