IBMやMicrosoft、AWSなど複数の企業の量子コンピュータを利用できるようになりつつある。今後、これらの性能、そして量子超越性といえる性能を定量化する必要がある。AtosのQ-scoreがそれを実現するかもしれない。
Atosの「Q-score」は、量子コンピュータのパフォーマンスを測定および評価する。AtosのCEOエリ・ジラード氏は、Q-scoreはあらゆる目的に使える指標(メトリック)であり、量子コンピュータが適切に対応できる問題の種類を理解するのに役立つと言う。
「Q-scoreが最大の影響を及ぼす応用事例は最適化だ」(ジラード氏)
AIはモデルの説明が容易ではない場合がある。量子コンピューティングは問題を人間が説明できるとジラード氏は考えている。
「これは組み合わせの問題だと思う。機械が行うことを人間が理解することはできる」とし、人間は問題を解決できるがその方法を広げることができないと補足する。
「巡回セールスマン問題」というよく知られた問題がある。セールスマンが各都市を1回訪れるという条件で、都市を巡る最適経路を決める問題だ。都市が少数ならば、人間でもセールスマンの最適経路を簡単に描くことができる。だが都市の数が増えると不可能になるとジラード氏は話す。
量子コンピュータの拡張能力ははるかに優れている。都市が増えても最適経路を導き出すことが可能だ。「人間の脳は問題を理解できる。だが次元が増えると脳は結果を導き出せなくなる」
ジラード氏は簡単な例をもう一つ挙げた。ある大学の学生寮に400人の学生を収容しなければならないが、100室しかない。しかも相性の悪いペアが50組ある。一緒に収容できる学生の組み合わせは、宇宙の原子の数より多くなる。
ジラード氏によると、2020年の量子コンピュータはQ-scoreの「15」に相当し、2019年に比べて5ポイント向上しているという。2021年の量子コンピュータのQ-scoreは最低でも20を記録するだろうと同氏は予測する。
従来型スーパーコンピュータでは解決できない問題を量子コンピュータが解決できるという「量子超越性」に到達するには、60程度のQ-scoreが必要になる。これは数年先になることを意味するとジラード氏は話す。
Atosは量子の短期応用を後押しし、量子優越性の実証を目的とするNEASQC(NExt ApplicationS of Quantum Computing)プロジェクトに協力している。プロジェクトにはTotal(フランスの石油メジャー)による二酸化炭素の回収用分子の特定、急速充電ステーションにおける電気自動車の負荷の最適化に関するフランス電力との連携、短期量子コンピューティング向けのモンテカルロ技法の再定義などがある。
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