契約解除を機にプロバイダーとの関係が破綻し、支援が受けられない。この状況下で国をまたいだサーバ環境の移行は成功するのか? 教訓に満ちた事例を紹介する。
オンラインベースの市場調査会社である英YouGovは、クラウドサービスプロバイダーの英Interouteがドイツのベルリンで展開しているマネージドサービスを利用していた。しかしこのサービスを数年利用するうちに、YouGovはサーバのアップグレード時に法外な料金を支払っていたことに気づいた。YouGovが当時契約していたマネージドサービスの規定に従ったことが、高額請求につながった。
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マネージドサービスの契約内容は柔軟性に欠けるもので、YouGovが実行できる施策には制限があった。「プロバイダーであるInterouteは、サーバの増設を制限した。さらに、ホストを追加すると30〜40%の割増料金を請求してきた」と話すのは、YouGovでインフラとシステム運営の責任者を務めるニック・カーター氏だ。
結局YouGovはこの契約を打ち切り、(システムを)ベルリンからロンドンに移すことを決断したと同氏は語る。ところがサプライヤーの変更とデータセンターの移行には、新たな課題が持ち上がった。カーター氏は、(この決断が基で)Interouteと同社との関係は実質上破綻したことを認めている。「Interouteから当社への接触はほとんどなかったので、われわれが(システムの移行に必要な既存環境の)情報を得ることはできなかった」(カーター氏)
YouGovがもともと利用していた米HPのProliant DL380 G5サーバは老朽化の兆候が現れており、同時に利用していた米NetAppのSANは、アップグレードに多額の費用が掛かることが見込まれた。既存のハードウェアをそのままロンドンに運んでシステムを再構成するのは論外だった。
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