データサイエンティストが太鼓判
「R」だけじゃない、使えるオープンソースのデータ可視化ツール
オープンソースのデータ可視化技術が成熟化し、ユーザーは、「現在入手可能なツールは多様な可視化ワークロードに対応できる」と歓迎している。
データ可視化ソフトウェア市場では現在、商用製品が主流だが、データ管理およびアナリティクスにおける他分野と同様に、オープンソースのツールが支持され始めている。こうしたツールには、可視化ライブラリ「D3.js」やマッピングライブラリ「Leaflet」に加え、インタラクティブ可視化機能で強化されており、広く使われている統計分析用プログラミング言語「R」などがある。
オープンソースのデータ可視化ツールに対しては批判もあり、その1つは、「使いこなすには、膨大なコーディングの知識や専門的なトレーニングが必要」というものだ。だが、ヘビーユーザーによると、これらのツールは進化を続けており、洗練された製品という印象を与えるようになってきているという。Rの場合、多くのソフトウェアベンダーが企業向けに商用製品を提供している。
「こうしたツールが人気を呼んでいるのは、入手しやすく、成熟しているからだと思う。オープンソースツールには限界もあるが、それを感じることなく、多くの作業に活用できる」と、SaaS(Software as a Service)型のヘルスケアアプリケーションを提供する米ZirMedのチーフデータサイエンティスト、ポール・ブラッドリー氏は語る。同氏はRを支持しており、米RStudioが提供する社名と同名のR用統合開発環境(IDE)について、「極めてユーザーフレンドリーで、コーディングの負担が少ない」と評価している。
「Rだけでもかなりのことができる」と、カナダの保険会社The Co-operatorsのリサーチ・アナリティクスディレクターを務めるクレメント・ブルネット氏も語る。同氏は米調査会社TDWIが2015年7月に米国ボストンで開催したカンファレンス「BOSTON 2015: The Analytics Experience」で講演し、「Rは、アナリティクスシステムのパイロットプロジェクトで概念実証を行い、システムをスケールアップして実運用に移行する過程で、特に効果的に活用できる」と述べた。こうした取り組みはますます容易になっており、それはR環境がよりグラフィカルになっているからだという。
米オンラインローン会社のAvantは、商用BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアとオープンソースデータ可視化技術を組み合わせて利用している。BI責任者のチャールズ・ホイッタカー氏は、「基本的に、データの可視化に費やす時間を減らし、分析に費やす時間を増やしてくれる技術であれば何にでも興味がある」と語る。D3ライブラリで提供される作成済みのグラフィックスは、Avantのニーズに最適だという同氏は、さらにこう付け加える。「われわれのようなユーザーが、見栄えの良いチャートを作ることにリソースを割かれることなく、データ探索やデータサイエンスに注力することを可能にしてくれる」
米コンサルティング会社PowerTrip Analyticsの共同創業者でチーフデータサイエンティストを務めるスティーブン・マクダニエル氏は、シンプルさを重視する観点から、データディスカバリ機能を省いてチャートやグラフの作成に特化したオープンソース可視化ツールを勧める。同氏が高く買っているツールの1つである「Lyra」は、米ワシントン大学で開発されているオープンソース製品で、同氏は「データ可視化におけるPhotoshop」と呼んでいる。
Lyraでは、D3フレームワーク(目的の処理を実現するには手動でコーディングする必要があるJavaScript集)を全てポイント&クリックインタフェースで利用できる。HTMLやSVG、CSSのようなWeb標準を使用して出力されるため、データの可視化結果を組織全体で共有したり、Webに公開したりしやすいという。マクダニエル氏はさらに「これまでは、『これぞ』というツールがなかなか見つからなかった。だが今では、データの探索をただ繰り返すだけではなく、特定のグラフを作成してWebサーバで公開し、コンテンツを集約して世界に届けるといった目的にぴったりのツールが使えるようになっている」と語る。
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