デジタル・ディスラプションによって、IT部門は新しい運用モデルの採用を強いられる。CIOはそれがもたらす課題と向き合わなければならない。
過去10年の間、ITプロフェッショナルは設定管理データベース(CMDB:Configuration Management Database)や設定管理システム(CMS:Configuration Management System)をサービス管理の要と考えてきた。
CMSは、アプリケーションをインフラコンポーネントにマッピングする、ビジネスサービスのための管理ツールであり、ITプロフェッショナルがインフラを社内で構築・運用し、ユーザー端末といえば「Windows」を搭載したノートPCかデスクトップPCだった時代に開発された。
これは、変更やインシデント、容量管理といった主要プロセス、自動化された依存発見ツールのコンテキストにおいては理にかなっている。だがCMSは、動的で動きの速い環境における複雑なアプリケーションやインフラに用いるには動きが遅すぎることが分かってきた。手作業による膨大な量の修正や、必要とされる調整作業の規模そのものが、極めて高いリソース消費とCMSプロジェクトの失敗率の高さにつながった。
しかし、「デジタル・ディスラプション」(訳注)がビジネスとテクノロジーに与える影響を中核として、あらためてCMSプロジェクトに対する関心が高まっている。
訳注:ジェイムズ・マキヴェイが『DIGITAL DISRUPTION』(日本語訳:実業之日本社)で提唱している「デジタル時代の創造的破壊」のこと。
このデジタル・ディスラプションのビジネスニーズに応えるために、CIO(最高情報責任者)やIT管理者は、“記録のためのシステム”と“関わりのためシステム”という2つの課題を追求しなければならない。
顧客の時代には、記録のシステムと関わりのシステムを結び付けてカスタマーエクスペリエンスや営業成績を最適化する必要がある。そうした中でCMSの役割が拡大した。CMSは、記録のシステムの進化と関わりのシステムの連係への対応が求められている。
従来型の記録のシステムは、社内のエンタープライズ専用管理ソフトウェアを組み合わせるのが一般的で、レガシーハードウェアとソフトウェアで構成される場合もあった。一方、関わりのシステムは、顧客やパートナー、従業員といった相手との交流に主眼を置く。交流はまずWebサイトやポータル、電子商取引を介し、モバイルアプリ経由の交流も増えている。記録のシステムが手入れやサポートを必要とし、IT管理予算の相当部分を消費するのに対し、関わりのシステムは革新と柔軟性、競争で抜きん出るためのスピードが要求される。
より多くのアプリケーションを取得したり開発したりする必要性、関わりのシステムを記録のシステムと連係させることの複雑性により、組織は予算を記録のシステムのメンテナンスから関わりのシステムの革新へとシフトさせる必要が生じている。
CMSは、システムや装備に掛かるメンテナンスコストや運用経費を削減する上で重要な役割を果たす。アプリケーションポートフォリオの見直しを行うことで、業務や技術管理部門は、自分たちが実際に何を使っているのか、どのアプリケーションが余分あるいはSaaSといった別の技術に入れ替え可能なのかについて考えさせられる。これはアプリケーションのモダナイゼーションのための準備にもなる。IT部門は、何を行い、それがどう機能し、事業に大きな支障を来すことなくオールデジタル時代のための包括的な技術管理機構の準備になるのかどうかについて、完全な記録を作成する必要がある。
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