「次世代ファイアウォール」の次を読む【後編】
セキュリティ企業の“誇大広告”に惑わされない「ファイアウォール」の選び方(1/2 ページ)
ファイアウォール単体の機能で脅威に対処できる時代は終わった。現在の企業に求められるファイアウォールの在り方とは何か。次世代ファイアウォールの選び方を含め、製品選定時に考慮すべきポイントとは。
前編「『ファイアウォールさえ入れておけば安心』な時代はもう終わった」では、攻撃の進化や企業のIT環境を取り巻く変化を背景に、ファイアウォールを取り巻く状況が変わりつつあることを示した。後編では、進化する脅威に対抗するためにファイアウォールに求められる要素や、ユーザー企業が製品選定の際に注目すべきポイントを解説する。
併せて読みたいお薦め記事
変わる「ファイアウォール」の在り方
「次世代ファイアウォール」とは何か
「モバイル」「クラウド」が鍵に
イスラエルCheck Point Software Technologiesでデータセンター製品のマーケティング責任者を務めるドン・マイヤー氏は、モバイルマルウェアの脅威に注目する。同社のモバイルセキュリティ製品「Mobile Threat Prevention」は、Appleの「iOS」とGoogleの「Android」を搭載したモバイルデバイスにインストールされている悪意のあるアプリを検出する。またアプリケーションやユーザー単位での制御が可能な次世代ファイアウォールと連係し、モバイルデバイス向けの脅威検出と脅威防止の機能を実現する。
マイヤー氏はファイアウォールと、脅威検出機能やエンドポイント管理機能といった他の要素との連係の重要性が高まっていると指摘する。Check Point Software Technologiesが提供するマルウェア対策製品「Check Point SandBlast Zero-Day Protection」は、同社の次世代ファイアウォールと連係。セキュリティパッチが提供される前の脆弱(ぜいじゃく)性を狙ったゼロデイ攻撃をCPUレベルで検出して回復を図る。またマルウェアの作成者が回避策を導入する前にエクスプロイト(脆弱性を狙った攻撃をするプログラム)を検出して、回復を図ることも可能だ。
「マルウェアのコード作成者は非常に賢くなっており、従来のサンドボックスは脆弱だ」とマイヤー氏は指摘する。「CPUレベルの検査をしなければ、従来のサンドボックスは感染を特定して予防する上で役に立たない。マルウェアがネットワークに到達する前の段階で、マルウェアを検出して阻止すべきだ」(同氏)
セキュリティベンダーのPalo Alto Networksで、ネットワークセキュリティ製品のマーケティング責任者を務めるサマンサ・マドリード氏は、「企業のデータセンターには、感染したアプリケーションの検査、検出、破棄をカバーしたファイアウォールが必要だ」と指摘する。ただし、企業が現時点で本当に必要なのは、「クラウドベースの脅威分析とエンドポイント管理機能を備えた次世代ファイアウォールを取り入れたセキュリティ基盤だ」(マドリード氏)という。
Palo Alto Networksのアプローチは、3つの要素で構成されている。1つ目の要素は同社の次世代ファイアウォールとその仮想アプライアンス版である「VM-Series」。2つ目の要素はクラウドベースの脅威分析エンジン「WildFire」。そして、3つ目の要素はエンドポイントセキュリティ製品「Traps」だ。この全てが連動して、ネットワーク全体を保護する。例えば、WildFireを契約している特定の企業がマルウェアの攻撃に遭うと、WildFireは全世界のPalo Alto Networksユーザー企業のネットワークに警告を配信する。その後、WildFireのユーザー企業のネットワーク下にある次世代ファイアウォールとエンドポイントは自動的に更新される。
IT部門のスタッフは、選定したファイアウォールが全ての主要なSDN(Software Defined Network)環境で動作し、主要なパブリッククラウドで問題なく機能することを確認した方がよい。代表的なパブリッククラウドには、Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services(AWS)」やMicrosoftの「Microsoft Azure」がある。
Check Point Software Technologiesの次世代ファイアウォールは、米VMwareのネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX」やクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」の環境に加え、パブリッククラウドでの利用も可能だ。Check Point Software Technologiesのマイヤー氏によると、同社はCisco SystemsのSDNアーキテクチャ「Application Centric Infrastructure」(ACI)での利用を可能にすることも検討しているとのことだ。一方、Palo Alto Networks製品はAWSで運用可能であり、管理サーバ「Panorama」経由で管理できる。
鍵となるのは自動化と統合だとマドリード氏は語る。「企業は、プライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境の両方でファイアウォールが運用可能であることを確認しなければならない」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー