「次世代ファイアウォール」の次を読む【前編】
「ファイアウォールさえ入れておけば安心」な時代はもう終わった
セキュリティの中核要素としての役割を担う時代もあったファイアウォール。脅威の巧妙化やIT環境の多様化を前に、その重要性に変化が起き始めている。
テクノロジーに関する流行語の中には、消えずに残り続けるものもある。「次世代ファイアウォール」はその代表例であり、誕生から少なくとも10年は経過している。次世代ファイアウォールは、パケットの内容から通信を監視するステートフルパケットインスペクション(SPI)に加え、アプリケーションやユーザーIDを基にした制御機能、IDS(侵入検知システム)/IPS(侵入防御システム)などの機能を搭載している。
こうした幅広い機能を1つの製品に統合することが重要視されていたものの、次世代ファイアウォールが従来のファイアウォールから一歩前進したのは、アプリケーション制御機能の存在が大きかった。というのも、企業のネットワーク経由でWebアプリケーションのトラフィック横断を検出してブロックできたのは、次世代ファイアウォールが初めてだったからだ。
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変わる「ファイアウォール」の在り方
「次世代ファイアウォール」とは何か
ファイアウォールだけが全てではない
2006~2008年ごろ、企業がマルウェアをブロックするために取った主な方法は、ファイアウォールでネットワークに境界を設けることだった。だがFrost & Sullivanでシニアインダストリーアナリストを務め、次世代ファイアウォール市場を担当するクリス・ロドリゲス氏は、「ファイアウォールは、企業の総合的なセキュリティ戦略を担うものではない」と主張する。
「ファイアウォールは、企業が配置可能な多くのセンサーの1つにすぎず、最重要事項ではない。エンドポイント管理や脅威分析との連係が不可欠だ」というのが、ロドリゲス氏の考えだ。「この連係においては、ビッグデータとセキュリティ分析が重要になる」(同氏)
米カリフォルニア州サンタモニカを拠点とするフィットネス会社のBeachbodyでネットワークエンジニアリングのシニアマネジャーを務めるウイリアム・ダガー氏は、同社においてセキュリティの優先順位は高いと語る。その理由は、同社がセキュアなオンライントランザクションを実行しなければならないからだ。
ダガー氏は、西海岸にある2カ所のデータセンターと5種の企業サイトで約1700ユーザーを管理している。BeachbodyはCisco Systemsの次世代ファイアウォール「Cisco ASA 5585-X SSP-60」「同SSP-10」と、そのIPSモジュール用ライセンス「Cisco ASA with FirePOWER Services」を導入し、運用している。
Beachbodyは、Cisco ASA 5585-X SSP-60をデータセンターの中央でクラスタ化し、1つのデータセンターに2台配置。一方、同SSP-10は各データセンターの境界に配置している。同社はファイアウォールを選定していたとき、Cisco製品をベースとしたデータセンターを実装したばかりだったとダガー氏は明かす。「Cisco製品のクラスタリング機能は、当社の設計に適合していた。クラスタリングを使用すると、複数のファイアウォールに負荷を分散して、各ファイアウォールが他のファイアウォールの動作を認識するようにできる。このおかげで、新しい次世代のセキュリティ機能を活用できるようにもなった」(同氏)
Cisco ASAのIPSモジュールであるCisco ASA with FirePOWER Servicesは、URLフィルター処理機能とマルウェア対策機能を備える。さらにCisco ASAは、アクセス制御システム「Cisco Identity Services Engine」とも連係して動作する。「当社は、SSL暗号化解除やアプリケーション認識など、他の機能を活用する準備も整えている」(ダガー氏)
次世代の脅威検出
現在、物理環境と仮想環境でネットワークを運用し、データをクラウド経由で管理している企業は少なくない。従業員のモバイル活用も進んでいる。こうした状況下では、「境界を堀で囲む」という従来のセキュリティ対策の概念は通用しなくなってきている。従業員は世界中で働いており、データセンターで使用していた従来の種類のファイアウォールでは脅威に対処できないのが実情だ。
「ネットワークは、テクノロジーの革新と同じ速度で絶えず変化している。保護に抜かりがないようセキュリティを維持することが重要だ」。セキュリティベンダーのPalo Alto Networksで、ネットワークセキュリティ製品のマーケティング責任者を務めるサマンサ・マドリード氏はこう語る。
後編では、進化する脅威に対抗するためにファイアウォールに求められる要素や、ユーザー企業が製品選定の際に注目すべきポイントを解説する。
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