ITサービスマネジメントは現代の新興技術や将来のイノベーションの必要性にどう対応しているのか。
ITサービスマネジメント(ITSM)では、オンプレミスとクラウド(プライベート、パブリック、ハイブリッド)の全て、データとアプリケーションに関する幅広い責務に対応する必要がある。これには一般的に、パッチ管理、脆弱(ぜいじゃく)性管理、メンテナンス契約、品質保証と管理、プロジェクト管理などが含まれる。サービス管理では、先を見越したDevOpsのサポートやビジネス分野における進化への対応(エンタープライズのIoT:モノのインターネット、インテリジェント構築管理など)、人事(HR)機能のサポートが求められる。
例えば英BMC SoftwareのITSMツール「Remedy 9」は、私物端末の業務利用(BYOD)をネイティブサポートする。監視や管理を強化することで、IT部門は重要な業務を確実に運用できる。
IoTの分野もITSMツールでサポートされ始めている。例えば英Axios SystemsのITSMツール「Assyst」は、サービス管理を一元化し、全てのサービスドメイン(およびスマート資産)を1つのサービスデスクと1つのヘルプ番号、1つのセルフサービスポータルに集約することで、「スマートオブジェクト」を処理する。スマートオブジェクトは、サービスデスクやエンジニアを増やすことなく自己診断と自動アラート、自己修復/ランブックオートメーション、遠隔管理機能を提供する。
現在のもう1つの注目分野は、建物と設備管理をITサービス管理に結び付けることにある。例えば米IBMのITSMツールは、同社のインテリジェント建物管理アプリケーション「IBM TRIRIGA」と連係する。
このソフトウェアは、リアルタイムモニタリングをイベント管理や分析と結び付け、ビル管理者によるエネルギー消費の最適化を支援して、運用を強化し信頼性を高める。ITSMツールやモニタリング機器と連係させてデータを取得し、そのデータをエネルギー分析やパフォーマンスの向上に役立てることもできる。
HRサポートの実例としては、HR機能が付加されたITSMツール(米ServiceNow)が挙げられる。このHR管理アプリケーションはインシデント管理アプリケーションと同じフォーマットを使っている。ユーザーがHRリクエストを作成すると、HRチームはITインフラライブラリ(ITIL)ベストプラクティスプロセスと同じツールを使ってそのリクエストを処理できる。
ITSMツールは現在、400社以上のサプライヤーから提供され、大部分は特定の機能に重点を置いている。ITSMツールは一般的に、大企業向けにはオンプレミス版、中堅・中小企業向けにはSaaSで提供されている。
現代のITSMツールは、高水準のプロセス自動化を実現している。Webデザインに基づく直感的なユーザーインタフェースを搭載し、共通のデータベースへのアクセスを提供する。「RES Software Service Desk」のように、セルフサービスポータルで自社独自の仕様に合わせて構築できるカスタマイズ可能なITILプロセスもある。ITSMツールは現代のWebアプリケーションやソーシャルメディアツールのように、ユーザーに優しい運用ができることが理想だ。その意味で、ITSMは社内IT運用のための重要な技術ステップであり、それによってIT部門は現在の運用環境を常に把握しながら同時にビジネスプロジェクトをサポートできる。
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