「そんなことがなぜ分かる? どこからそんな情報を手に入れた?」と同業者が驚く、ダンキンドーナツのデータアナリティクス戦略とは? 同社の示唆に富んだ事例を紹介する。
歴史ある外食チェーンDunkin' Donutsは、ビッグデータソフトウェア企業Splunkが提供するテクノロジーを利用して、顧客データの利用法を進化させた。来客数の多い地域を予測し、顧客忠誠度を向上させ、より多くの情報を顧客対応センターに提供するなどの施策につなげている。
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複数の外食チェーンのフランチャイズ事業を展開しているDunkin' Brandsで、コンシューマー向けテクノロジーおよびモバイル部門の責任者を務めるマシュー・クラフト氏によると、顧客が店に期待するのは、非常に迅速なサービスだという。
「顧客は、(オーダーした品物が)さっと出てくることを期待している。顧客は店に来たら品物を持ってすぐに出たがるものだ。そこから忙しい1日を乗り切るために当社の商品を買いに来るのであって、ここでペースを落としたくはないのだ」とクラフト氏は説明する。
Dunkin' Donutsが最近展開したマーケティングキャンペーンの1つに、「#WTFast」(way too fast:あまりにも速すぎる)というスローガンを掲げたものがあった。CMでは、スカイダイビングをする人物のモチーフを使用して、Dunkin' Donutsが安定して顧客に提供しているサービスの迅速さを強調した。人物が崖からダイブする前にドーナツを注文すると、パラシュートのひもを引いて地上に無事着陸したときには、ドーナツがちゃんと届いている、というシナリオだった。
このスローガンを軸にして構築したキャンペーンとプロジェクトによって、Dunkin' Donutsのブランドに大きなプレッシャーがかかったとクラフト氏は話す。以来Dunkin' Donutsは「顧客の期待をここまで高めてしまったのだから、われわれはぜひ実現しなければならない」と常に考えるようになったという。
そこで同社はモバイルに力を入れ、顧客向けの新しいアプリを開発した。これは後に「Dunkin' Donutsの新アプリ」として、業界全体の注目を集めるものになった。
「われわれはレガシーアプリを刷新した。もともとモバイルウォレットは実装していたが、顧客忠誠度プログラムの機能には制限があった。しかし顧客忠誠度プログラムは非常に人気が高かった」とクラフト氏は語る。
「そこでわれわれは2年間かけて新しいモバイルアプリを構築し、旧バージョンより格段に使いやすい操作感を実現した」
今どきの顧客は、小売店やブランドから提供される顧客忠誠度プログラムの特典を得る手段として、昔ながらのカードやクーポン券よりもスマートフォンを好む者が多い。
Dunkin' Donutsの顧客忠誠度プログラム「DD Perks」は、500万人近い会員を獲得した。会員はモバイルアプリの随所で特典を受け取ることができる。
Dunkin' Donutsの新アプリは、モバイルウォレットとしても利用できる。今回のアプリ刷新により、顧客はモバイル端末でオーダーしたり、店舗で展開しているキャンペーンやクーポンを適用したりできるようになった。Dunkin' Donutsは、ブランドへの顧客忠誠度を高める目的でもこのアプリを利用している。
顧客に提供される特典は、Dunkin' Donutsが保有しているデータによって左右される。Dunkin' Donutsはキャンペーンを展開する際、その対象となる顧客をまず絞り込みたいと考える。そこで、
をモニタリングしている。
顧客がアプリで行った操作は全てデータとしてDunkin' Donutsのシステムに送られ、そのデータはSplunkを使って分析される。
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