クラウドバーストの魅力は理解しやすい。だが少なくとも現時点では、それに伴う複雑さがメリットをかき消している。
ほとんどのIT部門は、時としてコンピューティング需要の急増に見舞われる。これは予想できることもあれば(例えばスポーツのベッティングサイトは決勝戦当日の状況を予想できる)、できないこともある。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly製品導入ガイド」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
そうした需要のピークに対応するための機器を自社で調達することは、必ずしもコスト効率が良いとはいえない。解決策としてよく挙げられるのがクラウドバーストだ。クラウドバーストでは、オンプレミスのリソースの負荷が高まると、理論上はアプリケーションが自動的にパブリッククラウドサービスに作業を割り当てる。
このアプローチの魅力は分かりやすい。普段は余分な演算能力のためにコストを掛ける必要がない。この概念は数年前、ハイブリッドクラウドを企業に売り込みたいサプライヤーの宣伝戦略として浮上した。
調査会社451 Researchのクラウドデータ担当調査ディレクター、アンドルー・ライヒマン氏も、かつて勤務していたAmazon Web Services(AWS)でこのアイデアを売り込もうとした1人だった。「AWSにいたころ、宣伝に使えそうなクラウドバーストの実例を探していたが、1つも見つからなかった」と同氏は告白する。
ライヒマン氏は、企業が突如としてクラウドバーストに飛び付くようになるとは考えていない。「まず何よりも、複雑だから」というのがその理由だ。
コンサルティング会社Quocirca創業者のクライブ・ロングボトム氏も同じ考えだ。クラウドにクエリを送って戻って来るまでの時間を考えると、ローカルネットワークの反応時間を想定して構築したアプリケーションにクラウドバーストを使う可能性は排除されると同氏は言う。
「これがうまくいかない傾向にあるのは、ローカルのデータを使うローカルのアプリケーションに対してリモートのリソースを利用しようとするためだ」と同氏は言い、そのためにシステムには0.5秒のレイテンシが生じると指摘。「バーストのメリットがあったとしても、このレイテンシによって帳消しになる」と解説する。
リモートのアプリケーションへの高速アクセスを実現するためには、全データセットをリモートに複製する必要が生じるかもしれない。そうなると、データをリアルタイムの運用に使う場合は、リモートに複製したデータを常に最新の状態に保ち続けることが課題になる。
データ層でアプリケーションのクラウドバーストを試みる場合、さらに問題は増え続ける。
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 8月7日号 光無線技術Li-Fiが「アリ」な理由
Computer Weekly日本語版 7月17日号 ツールを使え!
Computer Weekly日本語版 7月3日号 本当に役に立つ人材の見つけ方
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。