「Windows 10」の次期大型アップデート「Creators Update」では、OSで収集してMicrosoftに送信するデータの設定においてユーザーやIT管理者による制御範囲が広がるという。
Microsoftは間もなく、Windows 10で収集するデータについてIT管理者とユーザーが設定と確認のできる範囲を拡大する。
2017年4月にリリース予定のWindows 10 Creators Updateでは、プライバシーに関する設定とオプションを刷新し、Microsoftに送信されるデータの種類をユーザーやIT管理者がより制限できるようになる。IT関係者はMicrosoftがWindows 10のプライバシー問題を改善することを歓迎している。
医療技術企業MillarでITマネジャーを務めるスティーブン・パワーズ氏は次のように述べる。「セキュリティに関心を寄せる1人として、Microsoftが透明性を高めると知ってうれしい。どの情報が共有されるかを選んだり把握したりできるのはとてもよいことだ」
2015年のリリース以来、Windows 10が多くのデータ(エラー、診断、電子メール、ユーザーの位置情報など)を収集することはIT担当者やユーザー、プライバシー擁護論者の懸念を招いていた。
Windows 10のプライバシー設定はユーザーが変更したり、管理者がグループポリシーから変更したりできる。2017年4月にリリース予定のCreators Updateでは、こうした変更がより簡単になり、Microsoftに送信されるデータを少なくする新しいオプションも加わるという。
「今回の更新は透明性を高め、状況を分かりやすくする試みだ」とMicrosoftパートナーのSWC Technologyでシニアディレクターを務めるリック・オーパル氏は話す。
現在の「Windows 10 Pro」と「Windows 10 Home」では、ユーザーから収集するデータの量と種類について、次の3つのオプションから選べるようになっている。
基本 この設定は現在、アプリケーションの使用状況、ハードウェアとソフトウェアの構成、問題の発生回数、セキュリティ設定などの情報を収集する。Creators Updateのリリース後は、エラー報告、デバイスの能力、インストールされているアプリケーションの情報のみを収集するように変わる。
拡張 このオプションでは、基本設定と同じ情報に加え、ハードウェアのパフォーマンスとMicrosoftアプリケーションの使用状況の情報も収集する。Creators Updateではこのオプションは廃止される。
完全 この設定では、Microsoftが問題解決に必要と見なすあらゆるデータを収集する。アプリケーションの使用状況、電子メール、テキストメッセージ、Webサイト訪問、検索語句などの情報が含まれる。
この他、旧バージョンのWindowsからアップグレードするときやWindows 10を新規にインストールするときに表示する新しい設定オプションも加わる予定だ。これによって、IT管理者は位置情報追跡、「Cortana」の音声認識、診断、ヒント、広告をオフにできる。
Microsoftは2017年1月、収集対象データをユーザーが確認するためのWeb版ダッシュボードをリリースした。ここでは閲覧履歴や検索履歴、位置情報、Cortanaのノートブック(Cortanaに学習させたユーザー情報の蓄積)などの収集を管理できる。MicrosoftはこのWebツールで管理できる対象を拡大していく予定だという。
IT管理者が自社環境を管理するには、従業員がMicrosoftと共有する企業データについて把握しておかなければならない。例えば、規制の厳しい業界では、コンプライアンス確保のために自社データの行方を認識しておく必要がある。
主要なOSやWebブラウザ、Webサイトの多くがユーザーから情報を収集しているが、それに気付いていないユーザーも少なくない。Technology Business Researchのシニアアナリスト、ジャック・ナルコッタ氏は次のように話す。「今回の試みは、大手プラットフォームプロバイダーとして初めて収集情報を公開する目に見える一歩となる」
また、企業がユーザーからデータを収集する場合、広告配信の目的でそのデータが他社に提供されることがある。その場合、誰がどのデータを入手しているのかますます分からなくなってしまう。
「今の時代、みんなもう少し神経質になってもいいと思う」とパワーズ氏は語っている。
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