「Windows 10 Creators Update」で何が変わる? 担当者歓迎の新プライバシー設定とは2017年4月に提供開始か

「Windows 10」の次期大型アップデート「Creators Update」では、OSで収集してMicrosoftに送信するデータの設定においてユーザーやIT管理者による制御範囲が広がるという。

2017年02月02日 12時00分 公開
[Ramin EdmondTechTarget]
これまでもWindowsが収集するデータの範囲を設定可能だったが、より簡単な作業でできることに大きな意義がある

 Microsoftは間もなく、Windows 10で収集するデータについてIT管理者とユーザーが設定と確認のできる範囲を拡大する。

 2017年4月にリリース予定のWindows 10 Creators Updateでは、プライバシーに関する設定とオプションを刷新し、Microsoftに送信されるデータの種類をユーザーやIT管理者がより制限できるようになる。IT関係者はMicrosoftがWindows 10のプライバシー問題を改善することを歓迎している。

 医療技術企業MillarでITマネジャーを務めるスティーブン・パワーズ氏は次のように述べる。「セキュリティに関心を寄せる1人として、Microsoftが透明性を高めると知ってうれしい。どの情報が共有されるかを選んだり把握したりできるのはとてもよいことだ」

会員登録(無料)が必要です

Windows 10のプライバシー設定

 2015年のリリース以来、Windows 10が多くのデータ(エラー、診断、電子メール、ユーザーの位置情報など)を収集することはIT担当者やユーザー、プライバシー擁護論者の懸念を招いていた。

 Windows 10のプライバシー設定はユーザーが変更したり、管理者がグループポリシーから変更したりできる。2017年4月にリリース予定のCreators Updateでは、こうした変更がより簡単になり、Microsoftに送信されるデータを少なくする新しいオプションも加わるという。

 「今回の更新は透明性を高め、状況を分かりやすくする試みだ」とMicrosoftパートナーのSWC Technologyでシニアディレクターを務めるリック・オーパル氏は話す。

 現在の「Windows 10 Pro」と「Windows 10 Home」では、ユーザーから収集するデータの量と種類について、次の3つのオプションから選べるようになっている。

基本 この設定は現在、アプリケーションの使用状況、ハードウェアとソフトウェアの構成、問題の発生回数、セキュリティ設定などの情報を収集する。Creators Updateのリリース後は、エラー報告、デバイスの能力、インストールされているアプリケーションの情報のみを収集するように変わる。

拡張 このオプションでは、基本設定と同じ情報に加え、ハードウェアのパフォーマンスとMicrosoftアプリケーションの使用状況の情報も収集する。Creators Updateではこのオプションは廃止される。

完全 この設定では、Microsoftが問題解決に必要と見なすあらゆるデータを収集する。アプリケーションの使用状況、電子メール、テキストメッセージ、Webサイト訪問、検索語句などの情報が含まれる。

 この他、旧バージョンのWindowsからアップグレードするときやWindows 10を新規にインストールするときに表示する新しい設定オプションも加わる予定だ。これによって、IT管理者は位置情報追跡、「Cortana」の音声認識、診断、ヒント、広告をオフにできる。

 Microsoftは2017年1月、収集対象データをユーザーが確認するためのWeb版ダッシュボードをリリースした。ここでは閲覧履歴や検索履歴、位置情報、Cortanaのノートブック(Cortanaに学習させたユーザー情報の蓄積)などの収集を管理できる。MicrosoftはこのWebツールで管理できる対象を拡大していく予定だという。

Windows 10のプライバシーに敏感に

 IT管理者が自社環境を管理するには、従業員がMicrosoftと共有する企業データについて把握しておかなければならない。例えば、規制の厳しい業界では、コンプライアンス確保のために自社データの行方を認識しておく必要がある。

 主要なOSやWebブラウザ、Webサイトの多くがユーザーから情報を収集しているが、それに気付いていないユーザーも少なくない。Technology Business Researchのシニアアナリスト、ジャック・ナルコッタ氏は次のように話す。「今回の試みは、大手プラットフォームプロバイダーとして初めて収集情報を公開する目に見える一歩となる」

 また、企業がユーザーからデータを収集する場合、広告配信の目的でそのデータが他社に提供されることがある。その場合、誰がどのデータを入手しているのかますます分からなくなってしまう。

 「今の時代、みんなもう少し神経質になってもいいと思う」とパワーズ氏は語っている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社AGEST

いまや経営問題、サイバー攻撃リスクに備えるための脆弱性診断はいつ行うべきか

サイバー攻撃による被害は、金銭的な損失だけでなく、信用の失墜や業務継続への支障といった経営上のリスクに直結する。このようなリスクへの備えとして有効なのが、「脆弱性診断」だ。脆弱性診断の目的や実践方法について解説する。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

攻撃者が好むのは「垣根のあるセキュリティ」 組織全体でリスクを低減するには

アプリケーションセキュリティやクラウドセキュリティなどの各チームが分断している企業は少なくない。このような“部門間の壁”を狙うサイバー攻撃が増加している中、組織全体でリスクを低減するためにはどうすればよいのか。

市場調査・トレンド パロアルトネットワークス株式会社

すぐ分かる、「クラウドセキュリティ&コンプライアンス」徹底解説ガイド

昨今、クラウドテクノロジーを導入してさまざまな成果を挙げる企業が増えている。業務の安全性を確保するためには、ITアーキテクチャ全体を保護することが必要だ。適切なセキュリティとコンプライアンス対応は、どう実践すればよいのか。

製品資料 サイバーリーズン合同会社

境界防御では捉えきれない「アタックサーフェス」を可視化する方法とは?

アタックサーフェスを狙ったサイバー攻撃の増加を受け、ビジネスに甚大な被害が発生するリスクが深刻化している。このような状況においては、内部と外部の両面からアタックサーフェスを可視化する必要がある。

製品資料 NTTテクノクロス株式会社

おろそかになりがちな「PCセキュリティ点検」 手間なく、日常的に行うには?

サイバー攻撃に対する日常的な予防策として、PCセキュリティの点検は欠かせない。だが、PC点検は時間も手間もかかり、適切にソフトのバージョンアップができていない現場も目立つのが現状だ。PC点検から対応までを自動化できないものか。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...