インディアナ大学は学生と教職員に仮想デスクトップを提供するため、Citrix Systems製品を利用している。運用時の課題とそれを解消する方法について、同校のIT部門担当者に聞いた。
前編「名門大学は13万人が利用する『VDI』をどのように構築したのか」では、名門州立大学であるインディアナ大学が実施する、仮想デスクトップインフラ(VDI)の構築および運用の負荷を減らす取り組みを紹介した。後編は、そうした取り組みを具体的に取り上げる。
―― VDIを管理する上で、直面している最大の課題はどのようなものですか。
コックス氏 サイジングが重要だ。当校には潜在ユーザーが13万人いる。そのため、特定の日時に利用しそうなユーザー数を算出することが課題になる。ユーザー数がライセンスの上限にかなり近づいたことはあるものの、現在の体制で活動してきた6年半の間に上限を超えたことはない。
当校のIT環境は変動しつつある。ある教授はオンライン講座で教えている。私のチームはその教授と連携し、教授のオンライン講座向けにカスタムデスクトップを構築した。講義のシラバスやWebサイトへのリンクに加えて、教授が学生に利用してもらいたいと考えているドキュメントを事前に読み込み済みだ。そうしたものをすぐに使えるように準備しており、教授もそれを非常に気に入っている。毎年、学期が変わるたびに「同じものをまた利用したい」と求められるほどだ。だが時折、受講者が増加したことを教員陣から伝えられていないことがある。その結果、仮想デスクトップのエンドユーザー数が200〜300人増える場合もある。
私のチームはCitrixのリソース管理製品群を使用して、セッションが発生していないサーバからリソースや仮想マシンのイメージを素早く流用できるようにしている。このオンライン講座が開かれる19時に歯学部が活動することはないため、歯学部用のリソースを流用できる。
教授や医学部長から特定のユーザーグループに特化した機能を求められる場合がある。私のチームは、そのような相手と共に取り組む全体的なプロセスを用意している。要求を出した本人に研究所に来てもらい、テンプレートとなる仮想デスクトップのイメージ(ゴールデンイメージ)の構築を手伝ってもらう。
4人のエンジニアと1人のインターンが所属する私のチームは、終日ゴールデンイメージを構築している。これらのゴールデンイメージをどれだけ多く保持できるかを突き止めることは、個人的な課題だった。
われわれはリソース管理用のサーバを使い、大量の仮想ゴールデンイメージを交代制で使用している。アプリケーション管理機能「Citrix App Layering」が、ゴールデンイメージの数を減らすのに役立った。
―― インディアナ大学における現在のクラウドへの移行状況について教えてください。
コックス氏 当校は2018年に、種々のCitrix製品をクラウドサービスの「Citrix Cloud」へ移行した。Citrixと協力して3年間の移行計画を立てている。クラウドに移行するオプションを残しながら、既存のオンプレミス用ライセンスを維持することができた。そのため、現在はオンプレミスとクラウドの両方を利用できる状態だ。
われわれはCitrix Cloudに移行したいと考えていた。Citrix Cloudは当校のゴールデンイメージ構築を補助するものではない。とはいえ、オンプレミスでは常に大量のパッチ処理を実施しなければならない。インフラ要素をCitrix Cloudに移行できるのはチームにとって大きい。それにより5、6台のサーバを削減できる。利用しているCitrix製品で新しいバージョンが提供されるたびに、製品の更新に頭を悩ませずに済む点も助けになる。
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