“人のようなAI”は実現するか【前編】
真のAI「汎用人工知能」(AGI)とは? フィクションか現実か
さまざまなタスクを処理し、状況判断できる「汎用人工知能」(AGI)の実現を目指し、企業や研究者が開発を進めている。その実現を後押しする技術を、「AlphaGo」で一躍有名になったDeepMindが開発しているという。
現代の人工知能(AI)技術の進歩には目を見張るものがある。だが、SF(サイエンスフィクション)やファンタジー作品が描くAIの世界にはまだ程遠い。これまでに実現しているAIエンジンは、特定のタスクに特化した“狭い範囲”でしか機能しない。AIエンジンを利用したチャットbot、顔認識、自動運転車などは、用途が特定の範囲に限られている。
認識や会話、自律制御のような単一用途ではない、広範な認知タスクを処理でき、継続的な訓練を必要としない汎用(はんよう)的なAIエンジンは実現可能だろうか。研究者は、幅広いタスクを処理できる「汎用人工知能」(AGI)の実現を目指している。その最終目標は「人と同じように反応できる、本当の意味でのAI」、すなわち人と同様の認知能力を備えたAIエンジンの実現だ。
AGIを実現するためには、簡単なタスク、あるいは特定のタスクだけでなく、幅広い範囲のタスクを処理でき、複雑な状況に適応できるAIエンジンを実現しなければならない。「AIエンジンが人と同じように素早く考え、即座に反応して問題を解決し、人ができるほぼ全てのタスクを処理できるようにする」という壮大な構想を具現化することになる。
そもそもAGIは実現可能なのか
AGIの実現までは何年かかるのか、そもそも実現可能なのかについては意見が分かれている。何年かかるかについては専門家の予測もさまざまだ。「10~20年以内」という推定もあれば、「たとえ実現したとしても数百年先になる」という見方もある。
時間的な見通しが立たないながらも、さまざま企業が直接的に、または深層学習やその要素技術としても使われるニューラルネットワーク(脳細胞のネットワークを模した数理モデル)などの開発を介して間接的に、AGI研究への投資を始めている。Googleの親会社Alphabetが買収した先進的AI研究企業のDeepMind Technologiesは、多額の資金と時間を投じてAGIの実現に向けて取り組んでおり、その一環として機械学習アルゴリズムの一つである「強化学習」を採用している。
DeepMindが開発したAIエンジン「AlphaGo」は、2016年に囲碁のトップ棋士イ・セドル氏との五番勝負に勝利したことで有名だ。2018年には、単一のシステムで複数のタスクを同時に学習できる「IMPALA」(Importance Weighted Actor-Learner Architecture)というアーキテクチャを発表した。従来のAIエンジンは与えられた1つのタスクに特化しているのに対し、IMPALAは最大30種ものタスクを学習できる。この画期的な技術によって、自ら学習して新しい環境に適応できるAIエンジンの実現に一歩近づいた。同社はこの技術の活用分野を探して、AIエンジンの学習と成長を広げる研究を重ねている。同社のさまざまな取り組みが、AGI開発の分野に新たな道を開き、課題の克服につながるだろう。
後編では、引き続きAGI実現に取り組むベンダーとその技術の紹介に加え、将来AGIが実現するかどうかに対する見通しを解説する。
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“人のようなAI”は実現するか
「汎用人工知能」(AGI)の目標は、広範に及ぶ一般常識を備え、人と同じように振る舞える人工知能(AI)エンジンだ。それは本当に実現できるのか。
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