「エッジコンピューティング」が企業にもたらすメリットは少なくない。ただしその可能性を生かすにはエッジのセキュリティに関する懸念を理解し、対処する必要がある。どのような脅威があり、どう対処すべきなのか。
さまざまなデバイスをさまざまな形態で管理する分散型のIT管理方法が広まりつつある。こうした中、IT担当者はデータの発生源であるデバイスの近くを意味する「エッジ」に対して注意を払う必要性が高まっている。従業員がモバイルデバイスを使ってオフィス外で仕事をすることは、もはや当たり前になった。IoT(モノのインターネット)の取り組みの広がりは、さまざまなデバイスからのデータ収集を容易にしている。IT担当者が、エッジで情報を処理するデバイスの管理に大わらわになるのは必至だ。
エッジでデータを処理する「エッジコンピューティング」を推進する上で、エッジのセキュリティに関する懸念は十分に考慮すべきだ。だからといってエッジコンピューティングを避けて通るべきではない。慎重に導入することで、エッジのセキュリティは確保できると複数の専門家が指摘している。
「データセンターでもクラウドでも、何にでもリスクはある」。調査会社Gartnerのバイスプレジデント兼ディスティングイッシュトアナリストのニール・マクドナルド氏は、エッジのセキュリティについて顧客にアドバイスする際にそう話すという。「潜在的なリスクと実施可能なリスク軽減策を全て洗い出すとよい」と同氏は語る。
これは一見するとシンプルなアドバイスだ。しかしマクドナルド氏によると、企業はデータをはじめとする自社のIT資産の価値を十分に認識していなかったり、必要なセキュリティ対策を常に講じていなかったりする場合がある。データがエッジにあれば攻撃にさらされることになる。企業はデータの価値を十分に評価し、その保護のために何をするかを決定しなければいけない。
収集するデータにはどんな性質があるか。そのデータが盗まれたり、改ざんされたりしたら、ビジネスにどんな影響が発生するのか――。「これらの問いを考え、悪い結果に注目し、どんなリスクがあるかを把握する必要がある」とマクドナルド氏は指摘する。
サーバを一箇所に集約させる集中処理型のインフラにおいてデバイスのセキュリティを確保することは、エッジのセキュリティを確保することよりもはるかに簡単に見える。集中処理型のインフラは企業にとってなじみがあるからだ。IT担当者はセキュリティ状況をモニタリングし、データ侵害などのインシデントが発生する可能性を軽減できる。
今後も集中処理型のインフラは役割を果たし続けるだろう。一方でエッジコンピューティングがより魅力的になるビジネスシーンがますます増えることも事実だ。モバイルデバイスの利用による能率アップ、自動運転による安全性の向上、IoTによる効率向上への期待をはじめ、技術がもたらすさまざまな可能性が、企業の期待をかき立てている。
エッジコンピューティングが、今後爆発的に成長する見通しであることを示す指標は複数存在する。Gartnerによると2018年時点で、サーバを集約させた従来のデータセンター以外で生成、処理される企業データは全体の10%程度にとどまる。だが2025年には、この割合は75%に上昇する見込みだという。
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