2020年のAIトレンド【後編】
「AI」の進化が“脱クラウド”を加速させる? その理由とは
人工知能(AI)技術の進化や多様化は、自然言語処理のさらなる高度化をもたらし、企業のクラウド利用に影響を与える可能性がある。それはどういうことなのか。専門家の声を基に2020年のAI関連市場の動向を予想する。
2020年は、ビジネスインテリジェンス(BI)をはじめとする分析への人工知能(AI)技術の活用や、AI技術を使った自然言語処理(NLP)の能力が高まる見通しだ。特に「NLP技術は進化し続ける」と、仮想アシスタントを手掛けるConversicaのチーフサイエンティスト兼シニアバイスプレジデントのシド・レディー氏は予想する。
併せて読みたいお薦め記事
「AI」についてもっと詳しく
機械学習を始めるなら知っておきたいアルゴリズム5選
進化を遂げる「自然言語処理」
人の言語は複雑で、何百個、何千個もの単語がある。「変わり続ける構文や意味論(セマンティクス)、語用論(プラグマティクス)、相当のあいまいさが理解を難しくしている」とレディー氏は指摘する。「AI技術の進化の一環として、NLPとディープラーニングは言語の処理と理解における非常に効率的なパートナーになり、そのニュアンスや意図をもっとはっきり認識できるようになる」(同氏)
AI技術にかかわる巨大IT企業のうち、Amazon Web Services(AWS)が2019年12月に披露したAI駆動型検索サービス「Amazon Kendra」は、自動的にビジネスデータを基にインデックスを作成して検索できるようにする。ユーザー企業は、同様のツールがアプリケーションに組み込まれたり、スタンドアロン製品として販売されたりすることを期待できる。
2020年はチャットbotや音声アシスタントを導入する動きも広がる見通しだ。そうした技術は導入コストが下がって導入が容易になり、かつ高度化が進む可能性がある。ただし企業がコンタクトセンターの従業員を完全にチャットbotと入れ替えることはなさそうだ。それよりも人の従業員とソフトウェアロボットワーカーのペアによる効率性を向上させ、ソフトウェアロボットには簡単な質問に答えさせて、難しい質問はペアを組む人間の従業員に振り向けるようになる。「2020年は人とマシンのコラボレーションが重視されるようになる」とフェルナンデス氏は予想する。
「AIチップ」と「エッジAI」で脱クラウドが進む?
あらゆる強化型の機械学習とディープラーニングアプリケーションを機能させるためには、ハードウェアの強化が求められる。2020年のエンタープライズはAIワークロード専用のハードウェアが期待できるとフェルナンデス氏は言う。
過去数年でIntelやGoogleを含むさまざまなベンダーが、「Cloud TPU」(TPU:Tensor Processing Unit)をはじめとするAI技術専用の半導体を披露してきた。新興企業がハードウェア分野に参入し始める動きは2020年も続く。例えば2016年創業の新興企業Cerebrasが発表した巨大AIチップは大きなニュースになった。Cerebrasによれば、このAIチップはディナー皿ほどの大きさがあり、膨大な量のAI関連処理をこなせる。
Cerebrasは巨大AIチップを開発する一方で、AI関連処理の場所を「エッジ」(データの発生源であるデバイス近辺)に移行する動きが広がりつつあることを受け、2020年にはそれより小型のAIチップも投入する見通しだ。製造業者向けのAI技術を専門とするニューラルネットワークベンダーNeuralaのCEOで共同創業者のマックス・ベルサーチ氏は「2020年、多くの製造業者がエッジへと移行し、クラウドから離れる」と予想する。
「AI関連処理とデータの中央集中に伴い、製造業者はシステムを稼働させているデータにアクセスするため、大手クラウド事業者に多額の料金支払いを余儀なくされている」とベルサーチ氏は指摘。結果として「エッジに配備して、エッジで磨きをかけられる、AIモデルのトレーニングのための新たなルートがもっと普及するだろう」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
2020年のAIトレンド
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
6
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
7
JSONをやめてPythonで送る トークン消費を約7割抑えるAIの設計
-
8
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
9
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
10
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー