Nokiaが楽天モバイルの5Gネットワークバックボーン構築に貢献世界初?

フィンランドのNokiaは最近、2つの大プロジェクトを抱えていた。アイルランド航空局のネットワークアップグレードと楽天モバイルのバックボーンとなる光ネットワークの構築だ。

2020年05月08日 08時00分 公開
[Joe O’HalloranComputer Weekly]

 フィンランドのNokiaは2つの難局を抱えている。一つは、アイルランド航空局(IAA)が航空管制通信ネットワークをアップグレードし、レガシーサービスからの移行をサポートするようNokiaに依頼したこと。もう一つは、日本の通信事業者である楽天モバイルが4Gと5Gネットワーク向けにNokiaのフォトニックメッシュ型モバイルバックホールネットワークを導入することだ。

IAAのネットワークをアップグレード

 Nokiaは西アイルランドに新設する同社の災害復旧センターにIAAの次世代航空管制ネットワークを導入することに成功したと発表した。NokiaはIP/MPLSネットワーク製品も供給する。同製品は、このレベルのミッションクリティカルなアプリケーションを明確な対象として設計されている。

 北大西洋空域(その大半がIAAの管轄下)は世界有数の混雑空域の一つで、航空量の増大に伴いIAAはキャパシティーの増加を迫られている。事実、全世界の航空量は2030年までに2倍になると予測されている。最新のATC管理アプリケーションは需要に応じるスケーラビリティを備えているが、IAAはIPに基づく異なる種類のネットワーク接続を必要としていた。

 新しい高帯域幅IP/MPLSネットワークはキャパシティーを増やし、需要が多い新しい航空管制アプリケーションの円滑な運用を保証する。レーダー基地間のエンドツーエンド通信など、IP以外を利用するレガシーアプリケーションもサポートする。

 ネットワークデザイン、アーキテクチャ、統合、デプロイを提供する専門サービスについてもIAAとNokiaは連携する。2019年初頭、まずネットワークを導入し、重要な音声サービスとレーダーサービスが管制官に提供された。Nokiaはこれに続き長期サポートとメンテナンスサービスをIAAに提供する予定だ。

楽天モバイルの4G/5Gネットワーク構築

 楽天モバイルは日本で最も新しい移動体通信事業者だ。同社は世界初(と楽天モバイルが主張する)のエンドツーエンド完全仮想化クラウドネイティブ5Gモバイルネットワークを立ち上げる。このモバイルネットワークは全国規模の光インフラに構築される。日本全国47都道府県をカバーし、バックホールとデータセンター相互接続(DCI)アプリケーションをサポートする予定だ。

 長距離と都市近郊の両方の光ネットワークにNokiaの光コンポーネントと波長ルーティング技術である「Nokia 1830 Photonic Service Switch」を使用して、フォトニックメッシュを作成する予定だ。これはモバイルバックホールネットワークとしてはNokia初の種類になるという。Nokiaは楽天モバイルの仮想コアネットワークの運用を担い、総所有コストも管理する。

 楽天モバイルのバックボーンネットワークは、Nokiaのスーパーコヒーレントチップセット「Photonic Service Engine 3」(PSE-3)とCバンドとLバンドの超広帯域波長ルーティングによって容量を最大化し、1bit当たりのコストを最低限に抑えるよう最適化される。

 Nokiaによると、モバイルデータトラフィックの急増や革新的な新世代顧客サービスのサポートが必要になっても、今回のデプロイによって楽天モバイルは4Gサービスと5Gサービス両方の迅速な展開に向けてネットワーク帯域幅を拡張できるようになるという。

 楽天モバイルでCTO(最高技術責任者)を務めるタレック・アミン氏は次のように話す。「当社は世界初のエンドツーエンド完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークを構築し、前例のない機敏性と画期的な経済性をエンドユーザーに提供する。NokiaのコヒーレントチップセットPhotonic Service Engine 3と統合ROADM技術(訳注)により、4Gと5Gのモバイルネットワークを構築する上で、これまでにないレベルの統合とパフォーマンスを実現する」

訳注:Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer。高速・大容量ネットワークを効率的に運用する技術。



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