2020年05月11日 08時00分 公開
特集/連載

自治体事例:AI&RPAで時間とコストの削減およびサービス向上に成功一時的な効率低下をどう解決した?

自治体もまた、一般企業と同じくコスト削減とサービス向上に迫られている。スウェーデンの自治体は大学の研究プログラムを利用してAIやRPAのトライアルに着手。現場の不信感を解消しつつ成果を挙げている。

[Gerard O'Dwyer,Computer Weekly]
iStock.com/Prostock-Studio

 スウェーデンの主要自治体がルンド大学(UoL)主導の研究プロジェクトを活用して、人工知能(AI)を使った基本サービスの提供を検証している。

 支援事業運営の自動化に関するUoLの研究プログラムレポートの導入部には、さまざまな福祉事業で基本的な行政業務を遂行する能力は、人間よりもソフトウェアロボットの方が優れているという説を後押しする内容が書かれている。この研究で検証された業務領域には、サービス利用者の収入と支出に関する一般的なデータ収集などがある。

 スウェーデンの16の大規模自治体がこのAI研究プロジェクトに協力し、Akademikerförbundet SSR(全国専門家組合)から資金が提供されている。同組合は行政、人材管理、福祉分野で働く大学卒業者を対象としたスウェーデン有数の組織で、7万2000人以上のメンバーを擁する。

 プロジェクトコーディネーターのルピタ・スベンソン氏に話を聞いたところ、同じ作業をした場合、AIロボットの処理効率は人間の2倍になるとUoLの研究は結論付けているという。

 「ロボットの使用で非常に効果が上がったことから、自治体ではロボットの利用が不可欠になっている。社会保障や社会的支援の運営にロボットを採用する自治体が増えるだろう。現在の進捗(しんちょく)率と開発速度を考えると、今後2〜3年で国内全自治体の主な行政業務をロボットに置き換えることが現実になると予想される」(スベンソン氏)

ロボットに対する労働者の不信

 今では自治体へのロボット導入は肯定的に受け止められている。だが当初は地方自治体の「行政官」がAIに不信感を抱いており、「人間がロボットのデータ収集精度を疑っていた」ため効率が低下することがよくあったとスベンソン氏は話す。

 「ロボットは作業効率を倍増する能力がある。だが、その効率を最大限に高める上で問題を抱える自治体も当初はあった。職場に来たばかりのロボットを信頼できない行政官がいたためだ。行政官の多くは二重検査を行って、ロボットの仕事の正確性と安全性を定期的に確認していた。サービスの申請者が正しい情報を理解して提出しているかどうかを確認したかったのだ。技術に不透明な点があったし、ロボットが正しく機能しているかどうかも不明だった。だが定期的な二重検査を行うと、AIのサポートによる効率向上が全く得られない恐れがある」(スベンソン氏)




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