AI技術で生まれた偽の動画「ディープフェイク」を、AI技術で見破る――。それを実現するツールがIntelの「FakeCatcher」だ。どのような仕組みなのか。
半導体ベンダーのIntelが「ディープフェイク」対策に注力している。ディープフェイクは、深層学習(ディープラーニング)技術を利用した偽(フェイク)の動画や音声だ。同社は2022年11月14日(米国時間)、人工知能(AI)技術の安全で良質な利用を目指したプロジェクト「Responsible AI」(責任あるAI)の一環として、ディープフェイクの検出ツール「FakeCatcher」を発表した。どのようなツールなのか。
ディープフェイクはAI技術を使い、実在する人物になりすます。攻撃者はディープフェイクを用いて、標的に対して不正送金させたり、機密情報を盗んだりする。ディープフェイクは、AI技術の進化と普及とともに実施しやすくなっている。IntelはFakeCatcherを武器に、企業のディープフェイク対策の強化につなげる狙いだ。
「FakeCatcherの目玉は、顔の血流を分析することだ」と、調査会社Gartnerのアナリスト、ダリン・ステュワート氏は言う。FakeCatcherはディープラーニング技術を利用し、画面に映った顔の血流を分析して、動画の真偽を判定する。
FakeCatcherは、Intelが無償で提供しているアプリケーション開発用ツールキット「OpenVINO」を使っている。OpenVINOはディープラーニング技術を利用し、画面に映った顔の血流をきめ細かく分析した上で、瞬時に動画の真偽を判定するという。
調査会社Forrester Researchのアナリスト、ローワン・カーラン氏によると、ベンダーは動画や音声、文章の解析技術を駆使して、ディープフェイク検出ツールの開発に取り組んでいる。攻撃者も技術力を磨いており「今後は検出する側と攻撃する側の『駆け引き』が続く」とカーラン氏はみる。
IntelはFakeCatcherについて、ディープフェイクを高精度で検出できると説明している。実際の「対抗力」がどのくらいあるのかは、未知数だ。
後編はFakeCatcherの実効性に対する、ステュワート氏の見解を紹介する。
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