攻撃による被害を防ぐためには、その入り口になり得る「Windows」のセキュリティを強化することが重要だ。具体的に何をすればいいのか。Windowsセキュリティの専門家に秘訣を聞いた。
MicrosoftのOS「Windows」を安全に利用するには、どうすればいいのか。2022年、Windowsのセキュリティ向上のためのヒントをまとめた書籍『Mastering Windows Security and Hardening - Second Edition』(Packt Publishing)を出版した、セキュリティ専門家のマーク・ダンカーリー氏とマット・トゥンバレロ氏に聞いた。
―― Windowsのユーザー企業にとって、セキュリティ向上の秘訣(ひけつ)は何でしょうか。
ダンカーリー氏 2つあると考えています。まず全てを信頼せず、常に確認する「ゼロトラストセキュリティ」に注力すること。それから多層的なセキュリティ対策を取り入れることです。
ゼロトラストセキュリティには複数のモデルがあります。Microsoftは「デバイス」「アイデンティティー(ID)」「インフラ」「ネットワーク」「データ」「アプリケーション」を保護する、6つの柱を持った独自モデルを採用しています。私としては、IDの保護に重点を置いてゼロトラストセキュリティを導入することが大切だと考えています。
トゥンバレロ氏 私はWindowsのユーザー企業に対し、セキュリティの最低基準を策定することを提案したい。最低基準を超えたセキュリティポリシーの策定に取り組みたいと考えている企業は、米国のセキュリティ標準化団体「CIS」(Center for Internet Security)によるガイドラインを使うとよいと思います。CISのガイドラインは特に、社内にセキュリティの知識があまりない企業に役立ちます。
―― Windowsのセキュリティ向上で最も難しい点は。
トゥンバレロ氏 Windowsを狙った攻撃の手口が常に巧妙化しているので、いろいろなことが思い浮かびます。難しい点の一つは、最新の脆弱(ぜいじゃく)性情報を収集し続けることです。他にもパッチ(セキュリティ更新プログラム)の管理や、推奨されるセキュリティ設定の適用といったことも課題になります。さらに言えば、攻撃を監視する仕組みを作り、攻撃経路を追跡することも非常にハードルが高いと考えられます。
ダンカーリー氏 最大の課題だと捉えているのは、技術の進化の速さです。企業は、オンプレミスインフラとクラウドサービスを組み合わせたシステムを構築するようになっています。その場合、脅威に対処するための手順が複雑化します。使用する技術が変わるたびに、企業は新たなセキュリティ対策を講じなければなりません。
パッチ適用が課題であることには、私も同意見です。Microsoftがパッチを公開した際、企業はまずはテストをして、問題がないことを確認してから本番環境に適用するのが通例です。こうした作業には時間も労力も掛かる。適用の作業中に攻撃を受けるリスクもあります。企業はパッチ適用の実施方法を見直し、とにかく迅速にセキュリティ対策を講じる必要があると私は考えています。
後編は、「シャドーIT」(IT部門が関与しないIT活用)の観点から、Windowsセキュリティ向上の策を考える。
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