親ロシアのハッカー集団「Killnet」は、北大西洋条約機構(NATO)にDDoS攻撃を実施した。攻撃により、どのような被害が生じたのか。
2023年2月、親ロシアのハクティビスト(政治的な目的でサイバー攻撃を仕掛ける活動家の集団)「Killnet」は、北大西洋条約機構(NATO)に一連の分散型サービス拒否(DDoS)攻撃を実施した。攻撃は、NATOが提供する複数のWebサイトに一時的な混乱を引き起こした他、同時期に発生したトルコ・シリア大地震の捜索や救援活動にも影響を及ぼしたとみられる。
Killnetは以前、ロシア発のチャットツール「Telegram」の暗号化されたチャンネルで、「NATOへのサイバー攻撃を開始する」と宣言した。攻撃を実施するために、暗号通貨による寄付も募っていたという。
NATOは、Webサイトが一時的に攻撃を受けたことを認めた。「NATOのセキュリティ専門家は定期的にサイバーインシデントに対処しており、セキュリティ対策を非常に重視している」(広報担当者)
防衛相会議に先立ってNATOが開いた記者会見で、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は追加の防護策を施行していることを明らかにした。「NATOのWebサイトの大部分は通常通り機能している。まだ問題が解消していない部分はあるものの、技術チームが復旧に取り組んでいる」(ストルテンベルグ氏)
ストルテンベルグ氏によると、NATOが任務や指揮系統で通信に使用する機密ネットワークは攻撃を受けなかった。一方でKillnetの攻撃は、NATO加盟国の空輸を支える多国籍チーム「Strategic Airlift Capability」(SAC:戦略的空輸能力)が利用するネットワークに影響を与えた可能性がある。
SACはトルコ・シリア大地震における捜索や救援活動のため、トルコ南東部の空軍基地にチームや機器を送り込んでいる。そのうちの一つが、航空機メーカーBoeingが製造する軍用長距離輸送航空機「C-17 Globemaster III」(C-17)だ。今回の攻撃によるネットワーク障害が原因で、SACは飛行中のC-17と一時的に通信できない状態に陥ったものの、消息が途絶えることはなかったという。
後編は、Killnetが政府を標的とするDDoS攻撃を繰り広げる理由を解説する。
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