RPAは業務の自動化に役立つツールだが「何でもかんでもRPAで自動化しようとし過ぎないよう注意すべきだ」とRPAベンダーは警告する。「持続可能な自動化」を構築するためには、どのような技術が必要なのか。
幅広い業種がRPA(ロボティックプロセスオートメーション)に関心を寄せ、積極的に導入している。RPAベンダーは「顧客と直接応対する業務が膨大にある企業ほど、RPAの導入効果が期待できる」と説明する。ただしRPAベンダーPegasystemsのCTO(最高技術責任者)兼製品戦略・市場担当バイスプレジデントであるドン・シュアマン氏は、「RPAは技術や業務プロセスの問題を全て解決してくれる万能薬ではない」と指摘する。
「IT部門の意思決定者は、従業員がRPAの用途に合わない使い方をし過ぎないよう注意すべきだ」とシュアマン氏は警告する。同氏の考えによれば、RPAが特に役立つのは「量が多く、単純で、特定のルールに基づいている」という条件に合う業務を自動化する場面だ。一方で、例えばAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を活用する用途にRPAを使う場合、同氏は次のように指摘する。「RPAは『既存のAPIがすぐには利用できない場合のつなぎの機能』と限定して考えるべきだ。放置するとRPAは、もろく壊れやすくなる」
幅広いビジネスプロセスに合った「持続可能な自動化」を構築することは、複雑なミッションだ。「RPAで連携する仕組みはあくまで一時的なものだと、ユーザー企業は認識する必要がある」とシュアマン氏は強調する。社内外のシステム、機械と人間の共同作業、特注のソフトウェア、サードパーティー製ソフトウェアなどを連携させて、複数のプロセスを自動化するには、RPAは適さない可能性がある。その場合はワークフローまたは「インテリジェントなビジネスプロセス管理」(IBPM)のようなシステムが必要になる。中でもIBPMをRPAと組み合わせることは「強力な秘密兵器になる」と同氏は言う。
インフレと生活費危機が消費者や企業に影響を与える中、RPAへの移行は進むのか。「企業がRPAを単独で導入するのではなく、もっと堅固で持続可能なワークフロー製品を使うケースをますます目にするようになっている」とシュアマン氏は語る。例えばローコード開発(最小限のソースコード記述による開発)の機能を持つワークフロー製品だ。そうした機能を併用することで、企業は自動化戦略全体の一端を担う存在としてRPAを活用できるようになると同氏はみる。
RPAベンダーLaiyeの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当ゼネラルマネジャーであるニール・パーカー氏の見解も、シュアマン氏と同様だ。RPAは徐々に廃れていき、人工知能(AI)技術を用いて業務を自動化する「インテリジェントオートメーション」が選ばれるようになるとパーカー氏は考えている。AI技術が使えない状況では、企業の苦労が消えることはない。働き方が変わったり、人材やスキルが不足したり、競争が激化したりする中で、AI技術を使わないのは適切な判断とは言えない。「最初からAI技術が組み込まれていなければ、ビジネスはもう成り立たないのだ」(パーカー氏)
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