Google最新鋭の生成AI「Gemini」は何が違うのか Microsoftと異なる発想「Bard」は名称変更

GoogleがAIチャットbot「Google Bard」を「Gemini」に改称。最高性能の基盤モデルを採用する「Gemini Advanced」も発表した。MicrosoftとOpenAIに対抗する動きだと、アナリストは指摘している。

2024年02月10日 09時00分 公開
[Esther AjaoTechTarget]

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 Googleは2024年2月8日(現地時間)、人工知能(AI)チャットbot「Google Bard」の名称を「Gemini」に変更すると発表した。2023年に発表していたAIモデル「Gemini」とブランド名を統一する。併せてAIチャットbotの新サービス「Gemini Advanced」も発表。Geminiには処理性能に応じた3つのモデルがあるが、Gemini Advancedは、最も複雑なタスクを処理できる基盤モデル「Ultra 1.0」を採用している。

ライバル「Microsoft Copilot」と異なる発想

 GoogleはGemini Advancedの英語版を、150の国と地域で提供している(2024年2月8日時点)。ユーザーはオンラインストレージサービス「Google One AI Premium Plan」の一部として、初期費用(2カ月)は無料、以後は月額19.99ドルで利用できる。

 Googleは、オフィススイート「Google Workspace」に導入している生成AI技術「Duet AI」を「Gemini」に切り替える計画だ。同社によると、Google One AI Premium Planのユーザーは、以下のツール経由でもGeminiを使えるようになる。

  • メールサービス「Gmail」
  • 文書作成ツール「Google Docs」(Googleドキュメント)
  • プレゼンテーションツール「Google Slides」(Googleスライド)
  • 表計算ツール「Google Sheets」(Googleスプレッドシート)
  • Web会議ツール「Google Meet」

 Google Bardの名称変更とGemini Advancedの発表は、MicrosoftとOpenAIに対抗する動きだ。Microsoftは2023年、AIチャットbot「Microsoft Copilot」(以下、Copilot)にOpenAIの技術を組み込み、競争力を高めた。

 アナリスト会社GAI InsightsのCEOポール・バイアー氏は「Gemini Advancedの発表は、Copilotに対する挑戦のように見える」と述べる。MicrosoftがCopilotを「アプリケーションにひも付く機能」として組み込んだのに対し、GoogleのGeminiはGmail、Google Docs、Google Slides内のユーザーデータに焦点を当てたアプローチを採用している、と同氏はみる。

 Copilotを組み込んでいるMicrosoftの主力製品は、オフィススイート「Microsoft 365」だ。同社は文書作成アプリケーション「Microsoft Word」、表計算ツール「Microsoft Excel」、プレゼンテーションツール「Microsoft PowerPoint」など、Microsoft 365アプリケーションにCopilotを組み込むことから始めたため、ユーザー企業の混乱を招いたとバイアー氏は指摘する。

 「Microsoft製品はオンプレミスベースのソフトウェアとして始まり、その後クラウドサービスに移行した」とバイアー氏は述べる。一方Googleの場合はスタート時点からクラウドサービスとして提供しているため、同氏は「より横断的な使い方ができる」と付け加える。

 「Googleは『われわれの生成AI機能は、ユーザーの全てのメール、全てのスライド、全てのドキュメントを横断して提供する』と主張しているのだ」とバイアー氏は述べる。Google Workspaceやクラウドサービス群「Google Cloud」を利用している企業は、Geminiを導入するとGmail、Google Sheetsなどにアクセスしやすくなる、と同氏は主張する。

 一方、技術調査会社The Futurum Groupのアナリストであるマーク・ベキュー氏も「類似点はあるが、CopilotとGemini Advancedは異なる点がある」と述べる。「Microsoftは、Googleが必然的に取り組めない事業にCopilotを組み込んでいる。その一例がクライアントOS『Windows』だ」(同氏)

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