複数のWeb会議ツールの会話履歴を横断して、ユーザーの質問に答える「Meeting GenAI」を、Otter.aiが発表した。AIアシスタント「Microsoft Copilot」やZoomのユーザーを取り込む狙いがあるが、課題も抱える。
自動文字起こしサービス「Otter」を提供するOtter.aiは2024年2月13日(現地時間)、Web会議の会話履歴に基づいた回答を生成する人工知能(AI)アシスタント「Meeting GenAI」を発表した。このツールは、複数のWeb会議ツールの会話内容を横断してユーザーの質問に答えるチャットbot「Otter AI Chat」機能と、会議内容の要約機能を備える。
同社の最高事業成長責任者(Chief Growth Officer)のダリウス・コントラクター氏は「Meeting GenAIの導入により、Otterが単なる文字起こしツールではないことを示したい」と強調する。
「仕事で重要な内容の多くは、Web会議の会話に含まれている。こうした全てのデータに対し、Meeting GenAIを使えるようにできないかと考えている」(コントラクター氏)。同社は、MicrosoftのAIアシスタント「Microsoft Copilot」、GoogleのAIアシスタント「Gemini」、Web会議ツール「Zoom」のユーザーを取り込むのが狙いとみられる。
Otter.aiは、Zoomだけでなく「Microsoft Teams」「Cisco Webex」「Google Meet」など、異なる複数のWeb会議ツールを利用しているユーザーをターゲットとして製品を訴求している。ただし、この戦略には課題もある。
Otter.aiにとって重要な課題は、幅広いサービスが付属するMicrosoftやGoogleの製品と比べたとき、ユーザーがOtterを選んでくれるか否かだ。調査会社Metrigyのアナリストであるアーウィン・レザー氏はこのように指摘する。
「Otterが目指すものは、複数のWeb会議ツールから得られるさまざまな知見を1カ所に集約し、そこから洞察を引き出してユーザーに価値を提供することだ。果たして、そこに十分な価値はあるのか。料金を支払う人はいるだろうか」(レザー氏)
Zoomなど他のベンダーもWeb会議の要約機能を無料で提供している。Microsoft Copilotは会議専用の機能ではなく、他のオフィスアプリケーションにも組み込まれている。これらの事実を踏まえ、レザー氏は「Otterは優位性を維持することがますます難しくなっている」と話す。
S&P Global Market Intelligence傘下の調査会社451 Researchでアナリストを務めるラウル・カスタノンマルチネス氏によると、MicrosoftやGoogleはOtter.aiのような小規模ベンダーと比べて、AI技術に多額の投資をしているという。
一方、Microsoftなどのベンダーは、生成AI技術の初期ユーザーをターゲットとしているとみられ、「無料利用枠によってユーザーを獲得できるOtter.aiにも、競争の余地は残っている」とカスタノンマルチネス氏は指摘する。
Microsoftは、ユーザー企業に対して製品使用前にライセンス購入を求め、その後は拡張機能の利用時に追加料金を求めることがよくある。一方、Otter.aiはベーシックプランを無料で提供し、使用容量の大きい有料版も提供している。小規模チーム向けのプランは月額10ドル、法人向けプランは月額20ドルだ。
「Otter.aiのような企業が、できるだけ多くのユーザーとの接点を獲得しようとするのは理にかなっている」とカスタノンマルチネス氏は述べる。コラボレーション製品の利便性が向上するきっかけは、より多くのユーザーに使ってもらうことで生まれやすくなるからだ。
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